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不老不死ロリの国 第三部分

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「だって、この中は暗いし、足元は階段で不安定だし、未知の世界に下っていくのって、コワいぢゃん。」
「それは反対だよ、キューリー夫人博士。わからない場所に行くことこそが楽しいんだよ。」
ネガティブとポジティブと発想の違いはこういうことである。同じ事象に対して、こうも違った形で発現するのである。
「おい。みんな。騒いでないで、先を急ぐよ。」
後ろを振り返った昆太は一瞬にして視野が固定された。その先は三方面に飛んでいた。
「うひょー!」
歓喜の声帯を鳴らす昆太。
それにビックリして、昆太アイビームが自分のお腹の下辺りを直撃していることに気づく三人幼女。
「「「これがウワサに聞くローアングル狙い?・・・。キャー!!!」」」
大慌てでスカートを押さえる三人幼女。時すでに遅く、スカートの内容物は昆太にガン見されていた。天然の箱子も実態を理解していた。おとめ力の存在は証明された。
「もう、油断もスキもあったものじゃありまちぇんわ。」
やはり顔が赤い吝奈が三人幼女を代表して昆太にクレームをつけた。
「パンツ見られた、パンツ見られた、もうお嫁に行けないぢゃん。」
木憂華は離れたいちばん後ろで、冷たい階段を指でつついている。
「箱子のパンツはなぜか見えなかったぞ。これは朝田先生の魔力の影響なんだな。改めて実感したぞ。いずれにせよ、いろいろ不安なら、俺の前を歩けばいい。それなら安心だろ。」
昆太は開き直って三人幼女の階段降下順位変更要求に応じた。
「これで安心だね、吝奈ちゃん。」
「そうでちゅわね。ロリ王の恐ろしさを痛感しまちたわ。気をつけないとでちゅわ。」
少し進むと、いちばん後ろから怪しい声が漏れてきた。
「絶景かな、絶景かな。デヘヘヘ。」
「下の方から、いったい何でちゅの?少々、いやかなり猥雑なオーラが流れてまちゅわ。」
砂の階段は、途中から登り階段となっていたことが悲劇の原因である。
「「「キャー!!!」」」
哀れな二種のパンツは昆太の内蔵眼カメラに収蔵された。箱子はパンツが魔力で守られていることを知らないので、『悲鳴上げグループ』に所属している。
「「「「どっこいしょっと。」」」」
最後の段を登りきった四人は驚愕した。
「「「「スゴい。暗い中で、眩しいけど、すごくキレイ!」」」」
きらびやかなネオンの明かりに包まれている。ネオンは青春真っ只中な青少年にはちょっとエロい。時間帯としては昼間のはずだが、ネオンがなければ真っ暗なのかもしれない。
「ここはラスベガスなのか?行ったことないけど。」
大小のビルや小売店、ショッピングモールまでが目に入る。しかし、人影はほとんどない。
「これは全部砂でできてるぢゃん。」
「どうしてそんなことがわかるんだよ?木憂華。」
「木憂華・・・。その響きにうっとりぢゃん。」
しばし呆けた後、木憂華は分析結果を口にした。
「まず、この都市は、砂のドームで覆われているドーム都市ぢゃん。」
「都市全体をドームで覆っているということ?」
昆太は目を大きく見開いて木憂華を見つめている。
「そ、そんなに情熱的ビームを浴びせられると、しゃ、喋りづらいぢゃん。ぽっ。」
またも照れてきた木憂華。赤さレベルがさらに上がった。
「これからどこに行ったらいいのだろう?」
エサを要求するカメのように、首をくるくると動かす昆太。
「先生からもらったメモには、『市役所に行け』と書いてあるよ。」
箱子が小さく折り畳んだメモをながめている。
「あれをご覧なさいでちゅわ。」
吝奈が指差す方向に、安っぽい木の立て札があった。そこに、とてもきれいとは言えない、幼児が書いたような文字が並んでいる。それもあっちこっちに泳いでいて、読みづらい。
『市役所はこちらだじょじょ。→』
「ずいぶんな案内看板だな。幼女の香りがするぞ。ワクワク。」
「お兄ちゃん。自分のロリ心に火をつけちゃ、ダメだからねっ。」
まん丸な目を、マテガイの形状で横に変化させて威嚇、もとい警戒する箱子。
四人揃って、矢印の方へ進んでいく。
「これが市役所なのかな?」
真ん中に聳え立つ、天井が四角錘の砂色の建築物。かなりの歴史を感じさせる。両脇に少し低い同色の直方体形を侍らせており、さながら国会議事堂のような威圧感に溢れた建物である。
四人は正面から堂々と入り、一階の受付に向かった。そこには受付嬢が見当たらない。
「仕方ないので内線電話を使ってみよう。」
昆太は受付の電話を取ろうとした。ガチャガチャと受話器を取る音がした。
「うるさいなあ。だれや、ウチの安眠を妨害するボンは?関西弁のかん高い声が聞こえてきた。」
どこかでみたような幼児服。帽子は橙色。
「あっ、ちゃんと受付嬢がいたんだ。てか、どこかでみたような幼女だけど。」
昆太は受付の中心で萌えを叫びたかったが、不吉な予感がして、太ももをつまんでガマンした。
「あ~あ。客が来たのは何百年ぶりやろ。めんどくさー。」
受付嬢からは、やる気がミジンコレベルすら感じられない。
「市民に対して客という呼び方はおかしくないか?」
もっともな意見を述べた昆太。
「わかったよ。もうめんどくせーわ。ほら、戸籍係はこっち方面。税金納付ならあっちの税務課。都市計画係なら別棟やで。好きなところにお行きなはれ。以上、説明は終わりや。冬眠するで。おやすみ。」
「ちょっと待てよ。全然わからないぞ。それに俺たちは、市長に面会したいんだけど。」受付嬢の顔色が急変して紫になった。
「市長に会いたいやと!?・・・。よくみれば気持ち悪いブーメランブルマを穿いてる、すごく怪しい奴。警察通報!」
『ビー!!!緊急警報発令、緊急警報発令!』
けたたましく鳴り響くサイレンと赤い照明が激しく点滅する。
『シャー!』
スプリンクラーまで発動し、床や壁が水浸しになった。
『ウイン、ウイン、ウイン、ウイン~。』
館内に流れるサイレンとは異なる、か細い音声が近づいてきた。
誰ひとりいない役所の中に、青く点滅するライトが昆太たちの方にやってきた。それは車両のようにも見えるが、周辺に人がいないので危険は小さそうである。
その物体はゆっくりと接近してきて、徐々に姿が明らかになってきた。三輪車だった。三輪車は背中に青いパトライトをつけた金属棒を設置している。
小柄な幼女が大汗をかきながら、三輪車を必死に漕いでいる。
「タイホしちゃうです。狼藉者たち、神妙にするです。特にそのブーメランブルマを穿いた変質者は怪し過ぎるです!」
三輪車から降りた青い警官服を身にまとった幼女。スカートは絶対領域の限界点に達している超ミニである。昆太のブーメランブルマを見ても驚かないのは、ポリスの証明である。
顔をすっぽりと覆う青い帽子はブカブカ、袖も異常に長く、かなり余った両手で拳銃を握っている。セクシーだがやや太めな幼女足。それを真剣に見ていた昆太の顔の筋肉が緩やかに崩壊していった。
「なんてミニスカなロリポリスなんだ。逮捕されるに値し過ぎる。もったいないぐらいだ!足はちょっと太めだが、それがロリっぽくていいんだ!」
昆太はうれしくて発狂モード。それに対して怪訝モード全開のミニスカ幼女。
「いったい何を言ってるです。貴様は万歳者です!」