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不老不死ロリの国 第三部分

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『ドン、ドン、ドン、ドン。』
 どこをどう飛んだのか、わからないまま、四人は着地した。誰もケガをしていない。
「ここはいったいどこなんだろう。」
「さあ、分校の里から外には出たことがありまちぇんから。」
「てゆうか、外に出ることはできない校則があるから仕方ないぢゃん。それをまともに受け入れているQたちも変だけど、ずっとそれをやってると、外に出ることすら考えなくなるぢゃん。習慣性とは恐ろしい性癖だけど、知らないうちに、情報統制されているかもぢゃん。」
「ここからでは、薄くて黄色な風景が広がるばかりだな。これは砂じゃないかな。」
 昆太は足元からひとすくいすると、パラパラと砂が落ちた。
「ホント、ここには何もないよ。見渡す限り砂、砂、砂だね。でも砂で、遊べるよ。」
 砂で城を作り始めた箱子。
「もしかして、辺境の地に飛ばされたとか?朝田先生はそういうことをやりかねないでちゅわ。都市に送るとか言われて、実際は騙されたんでちゅわ。もう分校の里には戻れまちぇんわ。べ、別に戻りたいとか思いまちぇんけど。うえ~ん。」
 ツンツンしながらも泣き出した吝奈。これも一種のデレなのか。
 吝奈の横で、砂の城を完成させた箱子は、何かを感じたのか、珍しく鋭い目つきで昆太を見た。
「なんか、急にこの城を大ナタで叩きたくなったよ。お兄ちゃん、ちょっと、ゾウさん出して。」 
「いきなり何を言い出すんだ。こんなところでできるか!」
「じゃあ、こんなところじゃない場所ならいいかな?ねえ、お兄ちゃん。」
 上目使いの箱子。身長差からどうしても自然にこの視線・角度となってしまう。
「ぐッ。幼女の45度目線ビーム攻撃か!俺の防御力ではこれには対抗できない。理性のロリ王壁が崩れていくぅ~。」
「そんなの、目を閉じればカンタンに防衛できるぢゃん。」
「そういえばそうだな。・・・。瞼が下がらない。これがロリ王の性(さが)というものか!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「自分で瞼を引き上げてるぢゃん。見下げ果てたロリ欲望王ぢゃん。」
「そのサディスティックな幼女の非難にも萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「よ~し。箱子、こっちへ来てくれ。
 昆太は、吝奈・木憂華に背中を向けて、自分の向かい側に箱を誘導した。
「は~い。じゃあ、そっちに行くね。」
 頭脳無垢な箱はロリ欲望王の正面に移動した。
「これじゃ、ほとんど公然ワイセツではありまちぇんか。」
「ほとんどなんて艶めかしい、ぢゃない、生易しいモノじゃないぢゃん。直撃公然ワイセツぢゃん!」
 ふたりは口泡飛ばして猛抗議している。しかし、残念ながら箱子の両隣にポジショニングしている。両目をカッと見開いて、ガン見する心の準備万端である。
「ちょっと、待ってくれ。こんなにみんなが見ている中で、ゾウさんを近日大公開することなんてできないよ。」
「遠慮は無用のスケベでちゅわ!」
「脳内ビデオのRECスイッチが赤く灯ってるぢゃん。早くゾウさんを起こすぢゃん!」
「キューリー夫人博士さん。こういう場合って、ゾウさんはすでに起きてらっしゃるんじゃなくて?」
「そうかな。幼女なので、よ、よくわからないぢゃん。」
「そこのふたり、いったい何を言ってるんだ!これはこの閉塞状況を改善するためにやむを得ず実施される神聖な行為なんだぞ。邪念は禁止だ。」
「邪念?それ何?あたしがしたいのはこういうことなんだけど。」
 箱子は昆太をハグした。顔がお腹辺りに付いている。
『ズキューン!』
 箱子の腰に付いていたナタは大ナタに変わった。箱子はそれを掴むと、砂の城を叩いた。
 砂の城はひとたまりもなく壊れた・・・。物理法則に従うことなく、城は堅固なブロック造りのように、大ナタの勢いを止めていた。
「これはいったいどうしたことでちゅの。キューリー夫人博士さん、事態の分析はできるかちら?」
「こんな奇妙な現象、Qの知識では解析できないぢゃん。あるとしたら、パコがあんちゃんから魔力を得たとしか思えないぢゃん。」
『ギイイイイ』
 さらに不思議なことに、砂の城の入口が開いた。
「ここから入れるよ。」
「こんな狭い入口から入れるのかな?これじゃあ、ネズミぐらいしか通れないよ。」
「でも、お兄ちゃんのゾウさんなら軽く入れるよ。」
「ほっといてくれ!」
「もし入れないと言うならばこれで入口を広げるよ。」
大ナタを小さな入口に突っ込もうとする箱子。
「そういう問題じゃなく、ただの作りものだ。本物の入口はどこにあるんだろう。いや、そもそも都市自体が砂に隠れて見えないぞ。」
「大丈夫だよ。都市はここにあると、大ナタが言ってるよ。」
「そんなバカな。大ナタはただの武器、道具だろ?」
「そんなことないよ。これは長い間あたしと生活、いや人生を共にしてきたんだから、何でもわかる生き物なんだよ。」
「木憂華、ナタってこの世界でも無機物だろ。生命が宿るなんていうことがあるわけないよな?」
「い、いきなりQに話しかけるんじゃないぢゃん。それに名前で呼ぶなんて、千年早いぢゃん!」
「あっ、ゴメン。じゃあ、名字で?」
「い、いや、べ、別に木憂華、でいいぢゃん、あんちゃん。ぽっ。」
ダルマのように真っ赤になった木憂華。
「ちゃんとお待ちなちゃい。ワタクチの立場はどうなるんでちゅの!」
「俺、何か悪いことしたのかな?それならあやまるけど。」
「そ、そういうことではありまちぇんわ。ワタクチにも吝奈という名前があるということを知らしめておきたいだけでちゅわ。」
「うん、わかったよ、吝奈。」
「お、お兄様がワタクチのことを名前で呼んでくれまちたわ。ぽっ。」
吝奈もダルマ二号にメタモルフォーゼした。
「ナタが生物なのかどうかは別にして、他に手立てがない以上、それを使ってみるかな。」
「お兄ちゃん、ありがとう。じゃあ、やってみるね。せぇーのっ!」
箱子は頭上に大ナタを持って行き開いた扉をめがけて、全体重を使って振り下ろした。
「やっぱり、ただの物理攻撃だよ。砂の城はそんまんま砂上の楼閣だよ!」
『ガキッ!』
城が壊れた!と思いきや、扉の下に四角い穴が開いて、そこに階段が見えた。
「こんなことがあっていいのか?」
「きっとあたしの大ナタが教えてくれたんだよ。」
「まあこの際、それは置いておこう。そもそもこの階段が都市に繋がっているのかどうかもわからないし。虎ケツに入らずんば恋児を得ずなんだから、中に入ろう。」
「ロリ王丸出しだと入りづらいでちゅわ。で、でもワタクチのことをどうしても見たいっていうなら、一緒に階段を下りてもよくてよ。ぽっ。」
「吝奈よりQと一緒に降りてほしいぢゃん。ぽっ。」
「うほ~!そういうリクエストならソッコーで手を」
昆太が言いかけた瞬間、木憂華はモグラのように砂に潜った。やはりビビり継続中であった。
地下への階段は思ったより暗くない。砂でできているせいか、外の光を反射で中に取り入れているように見える。
階段を降りる四人。先頭は昆太。ルンルンしている箱子が続き、なぜか顔が赤い吝奈がすぐ後ろにいる。五段開けて、木憂華が内股でヨロヨロしている。
木憂華に箱子が声をかける。
「キューリー夫人博士。歩くの、ちょっと遅いよ。もう少し急がないと、置いていくよ。」