オヤジ達の白球 16~20話
「「どうかしたのですか、皆さん?急に静まり返って・・・」
女の問いかけに、奥のブロック塀で投球練習をしていたはずの坂上が、
緊張した顔で振り返る。
「しい~っ。静かにしてくれ。悪いがいま、きわめて取り込み中だ。
希望の守備位置と背番号を決めているところなんだ。
だがよ。みんな同じ背番号をほしがって、収集がつかなくなっているんだ」
「あらら。それは大変な事態ですねぇ。
みなさん、いったいどんな背番号に集中しているのですか?」
「一番人気は、なんといっても巨人軍の長嶋茂雄がつけていた背番号3。
おまけに守備まで、サードに集中している」
「全員が背番号3で、サードの守備ですか。
同じ背番号で、たくさんの人がサードに集まっていたら、
ゲームになりませんねぇ。
他には、どんな背番号が人気をあつめているのですか?」
「松井秀喜の51。イチローの51番も人気だ。
24番もけっこう人気がある。誰だよいったい、24番をつけていた選手は?」
「古いところでは、『神様 仏様 稲尾様』の元西鉄ライオンズの
稲尾和久さん。
現役時代のことはよく知りませんが、1シーズンに42勝もあげたそうです。
中畑清さんが巨人軍時代につけていた背番号も、24です。
ただしそちらはぜんぶ、野球界での話です」
「ということは何かい、ソフトには背番号の決まりがあるのかい?」
作品名:オヤジ達の白球 16~20話 作家名:落合順平