オヤジ達の白球 11~15話
「笑わせるな、絶対に出るもんか。
駒どころか、あいつの頭からはホントの話のひとつも出てこねぇ。
またいつもの出まかせに決まってる。
同級生だからってあいつの肩を持ち過ぎだ。おまえさんも」
「待て待て。話にはまだ続きがある。
大将に、居酒屋のソフトボールのチームを作ってほしいそうだ。
投手になっても、投げる場がなきゃ意味がねぇ。
大将。そういうわけだ。
飲んべェどもを集めて、ソフトボールのチームを作ってくれないか」
「おいおい。つまみをオーダーするわけじゃねぇ。
ソフトボールのチームといえば、最低でも10人は集める必要がある。
そんなに集まるかよ、こんな貧乏居酒屋で」
北海の熊が「無理無理」と大きな音を立てて熱燗を呑む。
「悪かったな、貧乏居酒屋で」カウンターの中で、祐介が憮然とする。
しかし。ソフトボールのチームを作るというのは、なんだか面白そうな話だ。
(たしかに酒ばっかり呑んでいたんじゃ、身体によくねぇ。
ソフトボールで身体を動かせばいい運動になる。
悪くねぇかもしれねぇ発案だな)
しかし。常連客の中に、野球経験者はほとんど居ない。
ソフトボールの経験者となれば、なおさらだ。
ほとんどがお遊びのようなソフトボールなら、参加したことがある。
チームを作るには、なんともお粗末な実情がある。
作品名:オヤジ達の白球 11~15話 作家名:落合順平