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不老不死ロリの国 第一部分

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思いのほか早い走りで、耳で森の中のエサを取りながら走るという器用さを見せている。耳鼻逆ゾウの牙の根元が、血が滲むように赤くなっている。
疾走する耳鼻逆ゾウに追いかけられる箱子。
「あれはいったい何?ゾウみたいだけど、ちょっと違うし、何の動物なんだろう?」
前に耳があるのは、前方の五感の目と一緒に並ぶことで探索機能を増加させている。鼻が横にあるのは、体内の空調機である口のとは別の位置にして、横からの空気を取り入れることが可能となり、不測の事態に備えた危機管理の一環による進化と推察される。
「あれれ!」
走りながらバランスを崩す箱子。
耳鼻逆ゾウが広い耳を煽って、風を送ってきたのである。
「うっ!きゃああ!」
足を取られて、倒れた箱子。耳鼻逆ゾウは走るのを止めて目を光らせた。右前足を大きく上げた。明らかに箱子を踏み潰そうとしている。足の裏が見えた。箱子の顔が闇のように暗くなった。
「うわあああ!お兄ちゃん、助けて~!!!」
 思わず『お兄ちゃん』と口走った箱子。そんな生物はこの世界には存在しない。
『ズド~ン!』
轟音と共に巻き起こった砂埃で、箱子の姿と耳鼻逆ゾウの足元が見えなくなった。
弱い風が吹いて砂塵が消えた。
耳鼻逆ゾウの足が、箱子の頭に触れる寸前で止まっていた。
『シュウウウウ~。』
何かが突如として出現した。耳鼻逆ゾウと箱子の間には人間の姿があった。
『ギュルルルル』
 空気を切り裂くような音がした、その次の瞬間、箱子は巨大なナタを手にしていた。長さは2メートル以上ある。刃も合わせて大きくなり、凶悪な光を放っている。
「これ何?デカいけど、すごく軽く感じだよ。」
 箱子は右手に持った大ナタを軽く振ってみた。それは耳鼻逆ゾウに当たらなかった。
『バオオオオ~!』
耳鼻逆ゾウは悲鳴を上げて、ここまで来た時よりも速い足で逃げ去った。耳鼻逆ゾウの首は真っ赤に染まっていた。耳鼻逆ゾウの体から血が噴出していたのである。
「ふう。助かったあ。こんなところでいきなり変なゾウに出会うなんて。やっぱりゾウは王子様になれなかったんだ。どこまで言ってもゾウはゾウだね。でもナタはどうして急に大きくなったんだろう。それに軽く感じてるのはなぜだろう。」
「あいたたたた。頭をひどく打ったぞ。」
 後頭部を押さえて、顔を顰めている緑ぶちメガネの男子。
「ゾ、ゾウがもう一匹いるよ!うわああああ~!」
 男子を見て箱子は尻込みして、後ずさりした。それもそのはず。男子は一糸纏わぬ超自然体であった。
「ゾウだと?どこにそんなデカブツがいるんだ?」
 男子は周囲を見渡すがそんなものは視界に入らない。
「デカブツ?そんなものはないよ。ゾウはゾウだけど、子供、いや赤ちゃんゾウだね。かわいいような?」
 箱子の視線は一点集中であった。本物のゾウならばひたすら見上げるしかないが、こちらは見下ろして凝視しないといけないレベルであった。
「うっ。そのイタイ視線はここに来ているのか?ヤバい!」
 慌てて、その辺に転がっていた茶色の布切れを広げて腰に巻いた。
「そ、それは、あたしのナタを入れている袋。返してよ!って、ゾウが喋ってるよ!」
「ゾウ?俺はゾウじゃない。人間だ。それよりなんてかわいいんだ。ヒョウ柄ワンピースに野性的な瞳。何よりも身長1メートル未満の幼女で、出るとこはしっかり、いや巨乳レベル。ただの子供ではない。これぞ、本物のロリっ娘じゃないか!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」
「また萌え?三つ目のバージョンだね。って、そんなことを言ってる場合じゃないよ。コゾウ、化け物だよ、コワいよ~!」
 その場から逃げ出そうとする箱子。その動きは瞬時に強制的に停止させられた。
「待てよ。こんなにかわいいのに、ここにいるのは義務だろう。基本的人権でロリを愛でることは保障されてはいないけどな。」
「言ってることがわからないよ。どうしてあんたは人間と言えるんだよ。人間は女の子しかいないんだよ!って、まさか、あんたは男の子?」
「そうだ。コゾウかもしれないが、れっきとした人間の男子だ。不健全男子だ。」
「男子!?って、もしかしたら、お兄ちゃんなの?」
「お兄ちゃん?妹なんかいないし。職業では高校生と分類されるな。」
「高校生?その表現に憧れてるんだけど、あたしは小学千年生だよ。」
「小学千年生だと?それは実にロリ心に染み入る表現だな。どこまでも幼さを追求して離さない。なんとロリの鏡ではないか。」
いきなり盛り上がる昆太。立ち上がると、腰の布切れがはらりとした。
「きゃあ!またコゾウが顔を出した!」
「コゾウ、コゾウ言うな。まるで小僧みたいじゃないか。」
「だって、コゾウはコゾウだよ。」
「なにか、着るものはないのか。」
「これならあるよ。あたしの体操服だけど。」
「小さいだろうけど、仕方ないな。よいしょっと。これはかなりキツイな。」
 そそくさと白と赤の2パーツに別れた布地を身に付けた男子。
「ちょっと、あたしの体操服が悲鳴を上げているよ!」
「こ、これは伝説のブルマではないか!それもロリサイズをこの俺が身に付けるなんて。これは夢なのか、いや夢でしかありえないことだ!」
 男子のお腹は全開、腕を覆うどころか、肩の先で完了している袖。ブルマは超ブーメラン状態で、見方によってはセクシーと言えないこともないが、男子の雰囲気ではタダのヘンタイさんにしか見えない。
「あんた、コゾウじゃないなら、名前とかあるの?」
「俺は楼李昆太だ。立派な男子だ。男子?」
「じゃあ、やっぱりお兄ちゃんじゃなく、男子なんだ?」
「その通り。」
「・・・。だ、男子、化け物!きゃああ~!」
箱子は小さくなっていたナタを手にして振り回した。
「やめろ。危ないだろ!」
箱子はナタ振るいを止めず、周囲の木を切り倒した。
「いや、俺が間違った。俺はお兄ちゃんだ!完全無欠のロリ王お兄ちゃんだ!」
「えっ?お兄ちゃんなの?お兄ちゃんの前にロリ王とか冠詞が付いているけど。」
「お兄ちゃんにはいろいろ種類があるんだ。俺はその中のひとりだ。」
「世界にはそんなにたくさんのお兄ちゃんがいるの?」
「よく考えてみろ。お兄ちゃんがたったひとりだったら、世の中の女の子が困るだろう。ひとりのお兄ちゃんがすべての女の子を相手するとか絶対的に無理だ。だから、お兄ちゃんはすべての女の子の数だけ存在するんだ。なあ、安心設計だろ?」
「そうだね。安心設計のお兄ちゃん。ちょっと怪しい感じもするけど、お兄ちゃんなんだ!やったあ!あたしにもお兄ちゃんができたんだ!」
箱子の天然に救われた昆太。
「よ~し。ロリ王お兄ちゃんの胸に飛び込んで来い!」
「うん。お兄ちゃん!」
箱子は昆太に全力ハグ。
昆太は小柄な体に似合わない巨乳攻撃をまともに受けた。
「す、スゴい!これが真のロリか!妄想だけの世界がついにリアルになったぞ!それに夢にまで見た萌え妹付属お兄ちゃんポジション!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!バタン。」
昆太はリアルロリ王ならぬ、お兄ちゃんとなり果てた。

『ツンツン。ツンツン。』
箱子を先頭にして、吝奈と木憂華が後ろにつきながら、長い枯れ木の枝で、横たわっている昆太をつついている。但し、木憂華の枝は10メートルの長さを誇っている。