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不老不死ロリの国 第一部分

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「やめてよ。そんなことしたら、死んじゃうよ!」
「不老不死の国なんだから、それは絶対大丈夫♥」
「大丈夫じゃない!死ななくても痛みは万死に値するんだからねっ!」
「用語の使い方がちょっと間違ってまちゅわね。」
三人は歩きだしたが、箱子が突然立ち止まった。
「学校行くの、やだよ。」
「また『勉強イヤだ病』が発病しましたでちゅわね。何百年、同じフレーズをおっしゃるんでちゅの?」
「勉強はたしかに好きじゃないけど、それ以上に学校が、いや学校で行われることがイヤなんだよ。」
三人は会話をしながら歩き続けた。
「おい、ここを越えると遅刻しちゃうぢゃん。」
「あら、ホントでちゅわ。ワタクチも見落としてしまうところでしたわ。」
三人は小さな緑に覆われた山の前で立ち止まった。
「学校って、見つかりにくいように設計するんだねえ。こんな人通りが少ない場所なのに、いったいどんな意味があるんだろう。」
「さあ、ワタクチにもわかりかねまちゅわ。おそらく、防犯上の対策だとは思われまちゅけど。」
「防犯だって?こんなところに外部から侵入する人なんていないよ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、学校に入るぢゃん。」
「そうだね。遅刻寸前だからね。」
小さな山と言っても高さ50メートルの小山である。三人は小さな山の中に幽霊のようにスーッと入っていった。
「このドア、音をまったく立てずに開いて、あとは自動歩行とかスゴいねえ。」
「歩かなくていいのは便利でちゅわ。」
「それは逆走できない、つまり一旦入ったら、拘束されてしまうということぢゃん。建物をわざわざ背景と同じ山の迷彩色にしたりして、実にワケがわからないじゃん。この叡宴小学校は!」
「小学校じゃないよ。正確には小学校分校だよ。」
『マチナサイ。』
奇妙な機械音声が聞こえた。
「今日もいたよ。ホント毎日毎日、何百年もよく飽きないねえ。」
白いロボットが立っていた。宇宙服を着たような格好をしているがスカートが付いており、セーラー服のようでもある。
『チコクカクニンハ、セイトカイノヤクワリ。』
「出た!生徒会ロボットぢゃん!人手不足でこんなところに使われてるなんてかわいそうぢゃん。」
『キョウハ、セーフ。チコクデハアリマセン。ゴーモンウケナクテ、ヨカッタネ。』
再び機械音声が発せられた。
「相変わらず上から目線で鬱陶しいでちゅわ。」
教室への動く歩道を使う三人。
「いつもながらすごく視線を感じるんだけど。」
箱子は白い壁の天井付近に並べられた監視カメラを指差した。
「こんな古いシステムを使わさせられているのが、田舎の分校なんだよね。都市部はスゴいって聞いてるけど、よく知らないんだよね。」
歩道が止まると、自動ドアが開き、眩しい光に覆われた。三人の眼前には広大なスタンド、大画面スクリーンが広がっていた。ドーム球場がそこにあった。但し観客の姿は見つからない。
マウンドには黄金色に輝く机が置いてある。よく見ると、金箔が張り付けられていた。所々剥がれており、年代物であることを窺わせる。
箱子たちは、マウンド先にあるバッターボックス的な位置に座った。いちおう、安っぽいスチール製の机と椅子が置いてある。
マウンドに穴が開いて、そこからひとりの幼女が上がってきた。
涎掛けの付いた青い幼児服に黄色い帽子。その上には赤く大きなリボンがついており、見た目はかなりかわいい。幼児らしくショートな黄色の髪が肩にかかって揺れている。
「おはようさん。今日も儂の夢ハーモニーで死んでもらおうかの。」
「でた!授業前のド演歌が始まるよ!あ~、全然聞きたくない。」
赤リボン幼女の前には、すでにスタンドマイクが用意されている。
♪世の中はあ  思う以上に  辛いものなんだよ しら真剣に 勉学に励んでも 
進学できない  誰も誉めてもくれない  理不尽世界  それを嘆いて
勉強拒否は  即座に憲法違反  だから我について来い  辛い人生  
食わせてやるぜ  ゲロ吐かずに  耐えてみせたら  授業料は  半分にして
おいてやるがのう♪
「いつもながらひどい歌だね。歌唱力は認めるけど。」
 スタンドマイクの後ろに教卓が現れて、赤リボン幼女はそのまま教卓に横たわり、横顔でマイクに声をぶつけた。
「一曲ぶって、スタミナを使い果たしたぞい。だるいのう。でも、授業開始するぞい。激辛ドリンク準備じゃ!」
マウンドの下から宇宙服ロボットが三機やってきた。手には超真っ赤なドリンクを持っており、それを箱子たちの机に置いた。ドリンクは、沸騰してるかのように激しく泡立っている。
「ほら、一斉に飲むんじゃ。」
「えええ?もう辛くて痛いだけでおいしくもなんともないんだけど。」
「これはそういうものじゃ。まあ飲みたくないなら、それでもいいがの。その場合はこれじゃ。」
大スクリーンに映し出された三人の一糸纏わぬ、あられもない姿。湯気が映っており、入浴時に撮影されたもののようである。
「こんなの、いったいいつ撮ったんだよ!」
口から泡を飛ばして猛抗議する箱子。
「なんじゃ、その狼狽ぶりは。こんな幼女のヌード写真なぞ、需要はほとんどないぞ。」
「幼女じゃない!しっかり出るとこ、出てるんだから!」
赤リボン幼女は大スクリーンに目をやった。
「ふむふむ。たしかにからだは小さいが、あるものはあるのう。なんだかムカついてきたわい。ええい、問答無用じゃ!飲め飲め~。飲まないともっと恥ずかしい画像を出すぞ!」
「「「むうう。仕方ない。」」」
三人とも赤い毒物的ドリンクを口にした。
「パコ、あの映像って、毎日使われてるぢゃん。」
「そうでちゅわ。それにアレ以上と言ったって、観客はワタクチたち以外は、いまちぇんわ。」
「それはそうだけど、先生の唯一のストレス解消には付き合ってやらないと。」
そんな理由で飲むドリンクは恒例行事であった。
「「「辛~い。胃が焼ける、いや焦げる~!!!」」」
口から赤い煙を吐いている三人。
「ギヒヒ。この世で最高に辛い『ババアネロネロ』じゃからな。当然、致死量超過の不健康ドリンクは効果テキメンじゃ。これはとてもおいしいんじゃ。とろけるような口当たりで、胃腸もとろけるぞ。」
横たわったまま、腕で頭を支える姿勢で、宣伝する幼女教師。
「胃腸がとろけるなんて、濃硫酸系の劇薬に決まってるぢゃん。なあパコ!」
「とろけるなんて、おいしそう。ごくり。」
「なんなんでちゅかその反応は!」
木憂華のアドバイスは、箱子の脆弱な判断力には遠かった。
「そうでちゅわ、おやめなちゃい!」
吝奈も木憂華に同調した。しかし、吝奈は少しだけ沈黙したあと。
「ツッコミは時間の無駄。ツッコミするなら飲んだ方が早いでちゅわ。ゆっくり飲むのも時間の無駄。ここはイッキ!」
「やめろぢゃん!」
木憂華は吝奈を制したが、時すでに遅し。
箱子も吝奈を真似してイッキ。
「く、苦しい。でも気持ちいい~。」
「それ、うまいのか?」
ふたりを見ていた木憂華はふたりの飲みっぷりに乗せられて、ゴグゴクと飲んでしまった。
「辛い~。五臓六腑に辛さが染み渡る~。生き返らずに、死に帰る~。」
そのまま、床に倒れてしまった三人。