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不老不死ロリの国 第一部分

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「そうぢゃん。パコがQの言うことを聞いてくれたら、こんなことしなくていいぢゃん。それより、酔いが回って少々熱いぢゃん。ひっく。」
 木憂華は横座りになり、白衣の上のボタンを外して、前をはだけた。軽い盛り上がりが露呈してきた。
「キューリー夫人博士。朝っぱらからそれはダメだよ!」
「ちょっとだけぢゃん。あんたも好きぢゃん。朝っぱらがダメというなら、夜ならオールオッケーぢゃん。」
「小学千年生なんだからまだ夜もダメだよ。それにそういうことはカンタンにできることじゃないし。女の子としてはずっと心に潜めていたっていうか。ぽっ。」
 顔を赤くした箱子。
「そこは照れるところじゃないでちゅわ。」
「そうだ、そうぢゃん。ひっく。」
 こうして三人が土の路上に立った。三人いずれも身長は1メートルに満たない。
「あたしたちはもう高校生なんだよ。こんなことして遊んでる場合じゃないよ。」
「高校生でちゅって?それは正確な表現ではありまちぇんわ。」
「そうぢゃん。Qたちは、小学千年生ぢゃん。ひっく。」
「その言い方やめてよ!それだと、いつまでも小学生で、二千年、五千年、一万年経ってもず~っと小学生のままだよ。」
「でもそのままではありまちぇんか。ワタクシたちはこうして、背中に小学校を背負っているんですから。どっこいしょっとでちゅわ。」
「そうぢゃん。どっこいしょっとぢゃん。ひっく。」
「それはそうだけど、どっこいしょっと。」
 三人は赤いランドセルを背負った。見た感じはそのまま小学生である。
箱子を真ん中にして、歩き出す三人。木憂華は足元がふらついている。
「いつも変わり映えのしない風景だねえ。ホント、刺激のない世界だよ。」
「仕方ありまちぇんわ。ここはそういう田舎なのでちゅから。」
「そうぢゃん。このまったりした生活こそが平和の象徴ぢゃん。これを満喫しないで、何を楽しみにするぢゃん。ひっく。」
「こんな人生をいつまで続けなきゃいけないんだよ。刺激が無さ過ぎるんだよ!」
「刺激ならばこうすればよくてよ。手本を示して差し上げますから感謝しなさいでちゅわ。」
吝奈は、そばの木に生えていた紫色に光るキノコをもぎ取った。
「それって、どこから見ても毒キノコだよね?まさか、それを食べるんじゃないよね?」
怪訝な表情で吝奈を見つめる箱子。
「高貴な吝奈ともあろうお方が、そんなことするわけないぢゃん。フツーはこうするぢゃん。ひっく。」
木憂華は足元に落ちていた誰かの食いかけっぽいリンゴを手に取った。リンゴの半分
はすでになくなっている。残された実の色で黄色い部分は全くなく、ドス黒く変色し、
虫が蠢いている。捨てられてから数日は経過しており、それに最初に食べた主が人間である保証もない。酔った勢いで腐ったリンゴを食べるというアレである。
「ふたりとも、どうしてそんなモノを口にするんだよ!百パーお腹こわしちゃうよ!」
「箱子さん。その手にしてるモノはいったいなんでちゅの?」
箱子の右手には、あきらかに腐敗した動物の肉があった。鼻が曲がるような悪臭を撒き散らし、ハエがしつこく飛んでいる。
「刺激って言ったらやっぱり生肉。それも死肉だよね。味は最悪だけど。そもそも食べ物じゃないし。それが刺激の醍醐味なんだけど。」
「「「せぇ~の。ガブッと!」」」
三人が一斉に刺激物を口にした。
「「「まず~い!!!」」」
不快指数の見事なハーモニー。
「「「さあ、待機モード三分間。」」」
田舎だが、公衆トイレはしっかり設置されていて、三人はその前に立っていた。
「「「ぎゅるるる~!キタ~!し、死ぬ~!」」」
数分後、三人は公衆トイレから出てきた。
「はぁ~。スッキリした。今日は超特急だったねえ。」
「刺激的だったかちら?」
「たしかにそれはそうだったけど、からだにはすごく悪いよ。」
「だから刺激を求めるのはよくないっていうのぢゃん。いちいち付き合いするこっちの身になってほしいぢゃん。今日も死ぬかと思ったぢゃん。」
 木憂華は酔いがすっかり醒めている。
「でも死なないからできることだよ。不老不死の国だからこんなことができるんだから。えっへん。ぷるん。」
「こんなことで胸を張るんではありまちぇんわ。はしたないでちゅわ。ぷるん。」
「ふたりとも、イヤミぢゃん。悔しいぢゃん!シーン。」
三人の身長はほぼ同じであるが、胸に関しては、箱子・吝奈グループが超強者という格差社会がこの田舎にも存在した。
「どうしても死なないこの体。年も小学生から取らないし。体の成長も今の状態で止まっちゃってるし。こんなことでいいのかなあ。」
「何贅沢言ってるんでちゅの。死なないことって本当にありがたいことでちゅわ。それにトシを取らなくて、体や顔が醜くなることもないんでちゅのよ。」
「そうぢゃん。動物は必ず死ぬから、子孫を残すために右往左往してるぢゃん。生存競争が激しくなり、生きるために他者を殺すことも起こるじゃん。そんな殺伐とした世界は願い下げぢゃん。」
「それはそうだけど。それにしてもヒマだよなあ。せめて空でも飛べたらなあ。そう言えば、大昔はこの世界でも魔法が使えたとかいう噂を聞いたことがあるけど。」
「それはいったいいつ頃の話でちゅの?そんな都市伝説じゃなかった、田舎伝承になんの情報価値もありまちぇんわ。」
「パコ。そんな子供みたいなことを言うんじゃないぢゃん。魔法が使えたら、こういう遊び心もキケンな行為になるぢゃん。」
木憂華はフラットな胸元から、注射器を取り出した。それを箱子の腕にプスリと刺した。
「痛い!いきなり何するんだよ、キューリー夫人博士。」
「その名前で呼ぶなぢゃん。もう頭にきたぢゃん!チュー。」
木憂華は注射器のピストンをひいて、今日二度目の箱子血液を採った。濃い赤色がシリンダーを満たしていく。
「よ~し、キレイな血液が取れたぢゃん。二番しぼりぢゃん。これをQの体に移住させるぢゃん。」
木憂華は自分の腕に注射器を刺した。
「快~感ぢゃん!」
「あ~。ズルい女でちゅわ!ならばワタクチもこうしてやりたくはないけど、仕方ないからやってあげますでちゅわ。ガブガブ!」
「痛~い!吝奈ちゃん、急に何するんだよ。」
「新鮮なお肉、おいしい、いやせっかくですから味わって差し上げますでちゅわ。」
「イヤイヤ、こっちのフレッシュな血がQの全身に染み渡るぢゃん。ひっく。」
「こら、ふたりとも、あたしの体で遊ぶんじゃないよ。吸血鬼のキューリー夫人博士はあたしの血を飲んじゃだめ!狼族の吝奈ちゃんはあたしの体を食べるの禁止!痛くて涙が出てきたよ。グスン。」
「箱子さんの本気の泣き顔!べ、別にかわいくはありまちぇんし、萌えたくなんてありまちぇんけど。萌へ、萌へ、萌へ~!」
「痛いだけじゃないよ。あたし、スゴく怒ってるんだからね!」
「パコの本気の怒り顔。ひっく。萌ふぇ、萌ふぇ、萌ふぇ~!」
吝奈は再び萌え崩顔となった。木憂華は酔い+萌えのハイブリッドフェイスである。
「でもたしかに魔法が使えたら、この歯を鋭利にして、ひとくちじゃなくて、箱子さんの生肉を、もっとたくさん切り刻んで食べることができるかもでちゅわ。」
「Qも注射器を巨大化させて、パコから大量の血をもらい受けるぢゃん。」