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森本晃次
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短編集32(過去作品)
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あれから何年、そう、何回この防波堤で赤いバラを持った女性を見たのだろう?
一回、二回……。数え切れなくなってしまった。
波は相変わらず静かで、防波堤に白いドレスで立っている女性の匂いが潮の香りとともにやってくる。
――まり子の匂いだ――
そう感じている正春の後ろ姿は、すっかり白くなった髪の毛が風に揺れていた……。
( 完 )
作品名:
短編集32(過去作品)
作家名:
森本晃次