タイムアップ・リベンジ
「心配いらないわよ。私が今、あなたの目の前に現れたのは、あなたの気持ちが一番充実していると思ったからなのよ。今のあなたに私の気持ちを伝えれば、きっと静香にも伝わるだろうし、あなたも後悔することなんかないわ。そして、静香は私たちが思っているよりも、本当にしっかりした娘だって私は感じている。あの子には、私のタイムアップリベンジを超えてほしいの」
幹江の話を聞いていると、最初からすべて分かっていたような気がしてくるからふしふぃだった。
「静香のことは俺に任せればいいよ」
というと、満足したかのように、静香は、俊治の前から消えていった。
それから数日して静香は、俊治に初めて抱かれた。
最初は、
――本当にいいんだろうか?
と思ったが、何の心配をすることもなかった。その前の日、静香は俊治を引っ張るようにして、ある墓地に連れていった。そこで、手を合わせる静香。
「これ、私のお母さんのお墓なの」
その墓碑銘には、
「山田幹江」
と書かれていた。
そして、その横にひっそりと咲いている花を見かけた静香は、墓前にその花を添えた。そして一言口にした。
「これが、私のお父さんなの。いつ来ても、ここで摘んで花を手向けても、また次の時に来ると、花が咲いているのよ。私のお父さんは、ずっとここにいるの」
その言葉を聞いた時、俊治は、静香を愛おしくてたまらなくなったのだった……。
( 完 )
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作品名:タイムアップ・リベンジ 作家名:森本晃次