小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

INDEX|96ページ/149ページ|

次のページ前のページ
 

「この前のコートは?」
博之は、安っぽい量販衣料のダウンを着て来た愛音を見て聞いた。
「あ、せっかくのプレゼントもったいないから、今日はダウンで来ちゃった」
「残念な奴だな。今日着て来たら、俺は嬉しかったのに」
「あなた、愛ちゃんに何期待してんのよ。ねえ」
知子は困った顔で言ったが、博之は男心をうまく操れない、愛音の性格を危惧して言ったのだった。
(小原なら、絶対男を喜ばせるために、着て来るだろうな)と思った。
「愛ちゃん、タクシーで来たんでしょ。どうして? それなら迎えに行くのに」
「エクストレイル壊れてて、私の車を彼に貸してるんです」
「買ったばっかりじゃないか。こんな年の瀬に、どうしたんだ?」
「拓君がガレージにぶつけて、テールランプ粉砕。柱のセメントも剥がれた」
博之は、想像通り鈍くさい奴だなと思った。いいや、それ以上に厄介な奴だ。
「しかも、飲んで帰って来たのよ」
「え? 飲酒運転で? それはだめよ。そんなことする人、信用出来ないじゃない」
「そうなんです。私怒ったんだけど、今日までが出勤日だったから、私の車貸してくれって」
「お前、お人好しにもほどがあるぞ。別れるんじゃんないのか?」
「バンパーカバー取れてたから・・・」
「もう車屋さんも、年末休暇に入ってるでしょう?」
「はい、それに壊れた柱も直さないとダメなんですけど、年が開けるまでは・・・」
「このままじゃ、出て行ってくれそうにないな」
一瞬の沈黙となった。博之もどうするべきか迷ったが、今日はひとつ作戦があった。しかし、それは最後の手段としてまだ提案しなかった。
「取りあえず、何食べる?」
博之は鉄板に火を着けながら言った。
「私、モダン」
「私も」
「じゃ、モダン焼きばっかりになる」
 この店のモダン焼きは、その他のお好み焼きより大きい。それに焼きそばを入れて焼くので、お得感もある人気メニューだ。
「じゃ俺は、ねぎ焼きの大にしよう」
ねぎ焼きには、キャベツの代わりに青ネギが大量に入っていて、ポン酢で食べると韓国チヂミ風にもなる。博之は、二人のモダン焼きと半分交換しようとたくらんだ。