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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「小学生の勉強時間じゃないな。スゴ過ぎ。でもこんな経験してたら、何でも頑張る時にパワーを出せる人間になる」
「受験終わったら、もう勉強しないよ」
「それアカンやつ。でも油断はするなよ。風邪引くだけで、すべてパーになることだってあるからな」

 秋日子は晩御飯を食べ終わると、さっさと勉強部屋に行ってしまった。
「あなた、秋日子がね、クラスの友達とは別の中学に行くのが、辛いんですって」
「やっぱりそう思うか。制服がカワイイから受験したいとか言ってたのに」
「今クラスの友達とすごく仲良しだから、それが途絶えちゃうのが辛いんでしょう」
「ああ、漠然としていたイメージが、段々具体的になって来たんだろうな」
「レベル高すぎて誰も同じ中学を受験する子がいないから、それは予想外だったみたい」
「新しい道を踏み出すには、何かとの決別も必要だよ。辛いかもしれないけど、悲しいことばかりじゃないよ。新しい友達を作ればいいじゃないか」
「でもまだ12歳なのに、パパにそう言われると思って、我慢してるみたいよ」
「そうなのか。俺、ちょっと厳しくしすぎてたかな。愛音も拓君と別れる決断をしたんだ。次の相手との出会いだって、そう簡単じゃないだろう。それでも別れた方がいいって判断をしたんだ。それに比べれば秋日子は、新しい出会いがいっぱいあるはずだから、安心するように言ってやって」
博之は、勉強部屋に続く階段を見上げながら、重い気分で考えていた。(俺だって秋日子や愛音みたいに、厳しい状況にあると思う。部下が減って行くと、その代わりを見付けるのは本当に大変なんだよな。友達や結婚相手は、見付かるまで探せばいいけど、今の仕事には期限っていうものがあって、それまでに代わりを見付けて、一人前にしないといけないから、こっちの方がよっぽど大変だ。まあ、こんなことと比較して、秋日子や愛音に説明出来ないけど・・・)
 そして、この日も退職の延期について、家族に相談してくれているであろう小原のことを思い出した。そこまで博之の立場を理解し、協力してくれるような部下が、また現れるようなことなどまずないだろうと、本当にピンチに立たされて、(年末年始も安心して過ごせないだろうな)と覚悟するのだった。