隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2
「プレゼントは相手のために送るもので、貢物は下心があって送るもの」
「ああ、そうですね」
「旦那さんに魅力を振りまいて、貢がせるぐらいの気持ちで行こうよ」
「それって、私がひどくないですか?」
「旦那の方こそ、プレゼントに気持ちが込められなくなってるんだと思うよ。クリスマスとか誕生日とかだから、何か用意しなきゃと思って、日頃の感謝の気持ちとかじゃなくなってるんだよ。ましてやクリスマスプレゼントをスルーしてしまうなんて、プレゼント交換の儀式さえ億劫になってるようじゃ、その方がひどいと思うよ」
「そういうことですよね。やっぱり」
とても悲しそうな表情をする小原を、励まそうと頑張る博之だが、
「だから、何か相手のために出来ればいいんだけど、家事は苦手なんだろ?」
「はい・・・」
「じゃ、小原の魅力で、もう一度貢ぎたくなるようにさせればいいじゃない」
「そうですね。それが出来ないと冷める一方ですよね」
「飼い犬にアクセサリー買ったりする人いるでしょ。俺の場合それと感覚が一緒なんだ。相手がどう思っていようと関係なくて、ただプレゼントしたいだけ」
「それは木田さんだからですよ。うちの旦那は・・・」
「お前はもっと可愛く振舞って、そのペットみたいに可愛がってもらうだけでいいんだよ。それに対して、感謝の気持ちでプレゼントを返せばいいじゃない」
「木田さん、いつも上手に言いますよね。結婚式の挨拶、社長じゃなくって木田さんにして欲しかった」
博之は苦笑いしたが、小原は一所懸命に、憂鬱そうな可愛い顔を作っている。
「木田さんの幸せの1/2(半分)でいいから、分けてほしい」
小原は悲しいというより、博之に何かを求めている雰囲気にしか受け取れなかった。
「可哀そうに、頭ヨシヨシしてやろうか?」
博之は冗談ぽく言ってみた。
「・・・・・・それ、お願いしてもいいですか?」