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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「拓君はクリスマスまでには、追い出すと思ってたのに、愛音、また殴られてないか?」
「うん、大丈夫」
「赤ちゃんのこともあるし、気を付けろよ。どうしても話が通じないなら、俺から言ってやろうか?」
「何を言うの?」
「出てけって」
「それじゃ、ケンカになるだけだよ」
「それでも、追い出してやるよ」
「拓君、今イライラしてるから何しだすか分からないよ。それにパパとは不倫じゃないかって言うのよ。もう、面倒臭くって」
「疑うでしょうね、それは。この人は全くの他人のはずなのに、出しゃばるなって思うでしょう」
「そこが辛いとこです」
「でももう2週間になるじゃないか、居座るって言っても、会話とかしてるのか?」
「してないよ。拓君、帰って来たら、テレビ見てるか、スマホ触ってるか、どっちか」
「食事はどうしてんの?」
「用意してない。朝はパン買って来て勝手に食べてるし、昼は会社でしょ。夜はどっかで食べてから帰って来てる」
「今晩も一緒に食べないのか?」
「もうクリスマスどころじゃないよ」
「寝る時は、どうしてる?」
「お風呂はシャワーだけだし、私が寝室に行ったら、勝手に浴びて、その後は勝手に寝てる」
「一緒にじゃないよな」
「当たり前でしょ! もう別れたんだから。おじいちゃんの和室に布団持って行って、それも敷きっぱなしなんだ。もう、早く出てってくれないかな」
「それより、赤ちゃんのことは内緒のままでいいのか?」
博之は愛音の顔を見て聞いた。
「絶対に言わない。言ったら別れてくれなくなる」
「でも、一人で育てるのは大変だぞ」
「私ね、お母さんがどうしてパパに会わせてくれなかったのか、解かった気がするの」
「それは複雑な理由だろう」
「私は大人になるまで、一度もパパの顔を見たことがなかったのよ」
「愛ちゃんも、寂しかったでしょうね」
「お母さんも辛かったし、愛音には本当に辛い思いをさせて、申しわけなかったって言ってたよ」
「本当のパパに会いたいって、ずっと思ってた。パパが誰かって、隠し通さないといけなかったのにね。だからパパにも私がいることは、絶対に知られちゃいけなかった。・・・私、結局、お母さんと同じような人生だわ」
「・・・・・・」
「お母さんは1/2(半分)しか人生を楽しめなかった」