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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「お前こそ、元カレに未練とかはないか?」
「うん、結構どうでもいいですけど。あんまりそういう話には、旦那がうるさいんですよ」
「ヤキモチで?」
「はい」
「じゃ、ヤバイ人の写真とか、どうしてるの? 捨ててないでしょ」
「うふふ、捨ててるんです。バレないようにうまい方法で」
「ええ? さっぱりしてるな」
「木田さんは、持ってます?」
「持ってる持ってる。昔はデータじゃなく、写真プリントだから、全部スキャンして、パソコンの中に隠してる」
「やっぱり、未練あるじゃないですか」
「あ、そういうことならそうかな」
「実は私も写真データを、パソコンのゴミ箱の中に捨ててるんです」
「え? それって、ゴミ箱の中に、残してるってことじゃないのか?」
「正解。(笑)いい方法でしょ」
「ズルイなぁ。それはバレないな」
「捨てたくない人のも、いっぱいあるんですよ。もし見つかったら、『捨てたはずなのに、まだ残ってた』って、ことにすればいいし」
「うわっ、ワッル! 悪い子だなぁ〜。そういうとこ可愛いぞ」
「はい。私、可愛いですから」
「そう、そう。可愛い女はズルくてOK。俺もゴミ箱、真似しよっと」
「スマホの中じゃ見られてしまいますからね」
「俺はスマホに少し隠してる。アルバムフォルダは見られるとヤバイから、写真編集アプリのフォルダに数枚だけど保存してる」
博之はスマホを起動した。
「元カノ? 大分昔のことですよね。ひょっとして現役の浮気相手?」
「違うよ、元カノもあるけど、ちょっと待って。・・・ほら、この人」
その画面を小原に見せると、
「あ、きれいな人。誰です?」
「これが例の大学職員さん」
「ああ。この人が。・・・最近も会ってるんですか?」
「今年のゴールデンウィークに久しぶりに会った時のだよ」
「え? 今年? 若い! でもやっぱり奥さんには隠すんですね」
「この人と会ったことは内緒にしてるから。でも、そんな関係じゃないけど、本当に」