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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「口では何とでも言えますからね」
「社長には、いろいろ大変だから、また給料上げてくれって言って来たらしいぞ」
「社長にですか?」
「ああ。社長も呆れてた」
「あの仕事ぶりでご褒美もらえたら、こっちはやってられんすよ」
「そんなにひどかったのか?」
「現場にいても突っ立ってるだけで、周囲から『あの人何しに来てる人なの?』て、言われたことありますよ」
「そんなに何もしなかったのか?」
「何もしないわけじゃないんですよ。客との連絡役だったり、たまに遅くまで残業したりしてましたけど、何してたのか分からないって感じなんですよ。作業は大体、僕と岩瀬に任せっきりで、書類とかも放置ですし。休憩も1時間近く取るし」
「あいつに成長してほしくて、この仕事を任せたのに、残念だな」
「クリスマス・イヴぐらいは休みましょうよ」
「そうだな。お前も彼女放っといたら、心配だろうしな」
「はい。絶対浮気されますよ」


「クリスマスプレゼントが、まだ何も買えていないんだ」
「いいですよ、今年は。秋日子受験前だから、プレゼントなんか渡したら、遊んでしまうだろうし」
「代わりに、頭ヨシヨシしておいてやるよ」
 知子は博之の仕事を気遣って、穏やかな表情で話している。それを博之は感謝していた。
「お前にも、まだ買ってないよ」
「私はそのうちでOKよ」
「利子が付きそうだな」
「なら、今度、愛ちゃんと買い物に行く約束したんだけど。その時、コートとか買ってもいいかしら」
「好きなの買えよ」
「よーし。買っちゃお」
「どんなのを?」
「いいやつ」
「俺のカードでか」
「愛ちゃんにも、買ってあげて」
「あいつの方が金持ちなんだぞ」
「父親として、買ってあげて」
「そう言えば今まで、まともにプレゼント渡したことなかったな」