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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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 数日後。また小原が怒っている。
 先日の丸川係長の無断欠勤のことは、何も聞いていなかったが、この日の朝、丸川が“退職願”を社長に提出したという話を聞いて、その真偽を博之に尋ね、ことの成り行きを聞いたからだった。
「退職する私から言える立場じゃないですけど、何考えてるんですかね! 私辞めても大丈夫ですか?」
「いいよ。君は今更気にしないでいいから」
「でも、大変じゃないですか。ただでさえ人出不足なのに、わざと困らせようとしてるんだわ」
「そうだろうけど、所詮そんなヤツなら、何をやらせても役に立つようにはならないよ」
「ボーナス貰ってすぐですよ。カスですね!」
「そんなヤツ、安月給のまま、一生成長しないだろうから」
「でも1月のスケジュール、こなせなくなるんじゃないですか?」
「大丈夫、何とかなる。俺が絶対、何とかする」
「私、気持ちよく退職出来ないです。せっかく、あの子ら3人も真面目になって来たから安心してたのに」
「もう、大丈夫だから、君には十分やってもらったから、これ以上負担をかけることはしないよ」
「でも・・・」
「いいって。何があっても君に残ってくれなんて頼まないから。これは男のプライドみたいなもんで・・・」
「そんなこと言うから、木田さんは女の人に甘えられないんですよ。でもやっぱり私、この状況じゃ何かしこりが残って・・・」


 クリスマス直前、博之は忙しくて土日も働いていた。それは丸川が退職までの1ヶ月間は、休日出勤しないと言って聞かなかったからだった。しかも、残業もせずに帰っている。博之が代わりに応援に入るしかなかった。それで、毎日4時間は残業もしている。博之は管理職だったので、就業規則に定められている勤務時間の上限は、適用されなかったので仕方ない。
「丸川さん、子供多いのに、仕事辞めて大丈夫ですかね」
丸川の部下の藤尾が何気なく言った。
「さあ。そう言えば、家建てて、奥さん妊娠中で、お義母さんも癌治療中で、大変なはずなのにな」
「いいとこから、引き抜きでもあったんじゃないですか?」
「あんないい加減な男を?」