隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2
「はいパパ。あき、今回成績良かったのよ」
「へえ。よかったな。どんな感じなんだろう」
「すごくいいよ」
「うーん。このSっての何?」
「それは学校の成績」
「ああ、内申点てやつか。ガッコの成績いいもんな。Sってどのくらい有利なんだろ?」
「塾の先生の認識だと、小学校ごとの通知簿にもよるけど、Sだと85点以上らしいですよ。100点換算で」
「じゃ、スゴイじゃないか」
「Sってほとんどいないらしいから」
「へえ」
秋日子は嬉しそうに、テーブルに手をついて、飛び跳ねた。
「テストの結果は、どこに書いてるんだ?」
「これだよ」
「132点? 何点満点で?」
「150」
「うえ? 132点って、スゴイじゃないか」
「だからそう言ってるじゃん。偏差値72」
「ナナジュウニ! 天才か! このグラフ、ボーダーラインが65って意味だよな。それで志望校A判定か」
「絶対受かると思う」
「順位も見てやってくださいな」
「1791人中、17位。しかも県内2位!」
「そうだな。よくがんばってるな」
「作文も最近、点数高くなってるし」
「どうやって勉強してるんだ?」
「毎日、『天声人語』書き写ししてる」
「『天声人語』を毎日? あ?読売? 朝日新聞か」
「パパ、何オモロイこと言ってんの?」
「頭ヨシヨシしてやろうか?(笑)」
「もう、いやー」