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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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第15章 責任感



 翌日、博之は事務所にいた。休日出勤である。
 昨晩は、愛音の電話が長くなり、小原が気を利かせてバーを出ることになってしまった。多少名残惜しかったが、小原をタクシーに一人で乗せると、その時、彼女が真面目な顔をしてこう言った。
「本当に愛音さんは、木田さんの愛人じゃないんですよね」
「何言ってるんだよ。違うに決まってるじゃないか」
「それが嘘だったら、私今、物凄くカッコ悪いんですよ」
「えぇ? どういう意味?」
「愛音さんの電話で、帰らされるんですから」
うっすらと笑みを浮かべてそう言うと、タクシーのドアは閉まり、走り出してしまった。
 その時博之は直感で、(今のはヤキモチじゃない。こっちの名残惜しさを揺さぶって来るなんて、さすがにかけ引きがうまい娘だな)と思った。

 土曜日の事務所で、博之はパソコンを立ち上げ、年末の企業監査の資料作りの仕上げをしようとしたが、丸川が出勤してこないことが気になっていた。
「今日は新映像チームも、出勤予定だったはずなのにな」
壁のホワイトボードには、1ヶ月のスケジュールが書かれているが、12月9日土曜日の欄には、丸川以下3名の名前が書かれていた。
「やっぱり、来週の業務の下準備の日だな。昨日遅くまで飲んで、遅刻してるのか。気合の抜けたリーダーだな」
博之は渋い顔をして、自分の仕事をしようと、パソコンにパスワードを入力した。
(この資料の半分は、小原が作ってくれたんだ。もうほとんど完成してるけど、あいつの日本語、たまにひどいからな。しっかり読み返しておかないと。でも、よく手伝ってくれたな。普通こんな地味な作業嫌がるのに、俺と一緒の作業、嫌じゃなかったのかな?)
 最近の博之は、小原のことばかり考えている。愛音の婚約解消より、秋日子の中学受験より、知子のことより。それは当初、仕事として気になっていたはずが、今では、彼女自身のことが気になるようになっていた。
(部下にこんな感情を持つのはよくない。変な行動だけは取らないように気を付けたい)