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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「拓君。早くご飯食べてくれる」
「ん? もうちょっと待って」
 愛音は、無言で食べ始めた。狭いダイニングルームには、茶碗や皿に当たる箸の音が、倍速再生している動画のように、カチャカチャと鳴り響いた。そして3分程で愛音は食べ終わり、大きくガタンとイスの音を立てて立ち上がって、使用済みの食器を台所のシンクに浸けた。

「もう! いい加減にして!」
 食器を洗いながら、居間から聞こえて来るゲームのBGMに、我慢出来ず叫んだ。濡れた手をエプロンに擦り付けながら、拓君のいるソファに向かって歩き出したが、自分の手を擦っているお腹の中に、赤ちゃんがいることを思い出して、歩みを止めた。
「拓君は、ここで何してるの?」
さすがに拓君も、愛音の方を振り向いた。
「何って・・・」
「何をしにうちに来たの?」
「結婚するために来たんだけど」
「・・・。毎日だらだらするだけで、これが結婚生活とでも言うつもり?」
「別に仕事から帰った時ぐらいいいじゃん。疲れてるんだし」
拓君はちょっと嫌そうに言った。
「私は、何もしないあなたのお守りをするだけで、疲れるんですけど」
「お守なんかしてないじゃんか」
「もういい。私、結婚やめようと思う」
「・・・・・・」
「昨日、木田さんにそう言って相談して来たわ」
「そ、それで向こうに泊まって来たのか? また、あ、あの人が、どっどう言ったんだ?」
彼の表情は険しく変わり、声が上ずっていた。
「私の話を聞いてくれただけで・・・」
「それだけか? 一晩も、一晩一緒で、どういう関係なんだ!?」
「何言ってんのよ! 大切な関係よ!」
「ぉれ、俺より大事な関係ってことなのか!?」
「バカじゃない? 木田さんとの仲を疑ってるの?」
「ああ。怪しいな! 前から何かあると思ってたんだ!」
「そうなの? そんなこと言うの!?」
「なんで結婚するのに、そんな他人との関係の方が大事なんだ?」
「まだ、木田さんと私のことをそんなふうに言うなんて! 家に来ただけで生活費も入れないし、あれやって、これやってって。やっぱり夫になる資格がないって、はっきり判ったわよ」
「なんだー!? 俺が何したって言うんだ!」
「何もしてないって言ってんのよー!」
 拓君は、ゲームのコントローラーを、床に叩き付けて立ち上がった。壊れて飛んだ破片が、散らばったの見た愛音は、一瞬怯みそうになった。