小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

INDEX|47ページ/149ページ|

次のページ前のページ
 

 バーに着くと、結構大勢の客で賑わっていた。博之はカウンターに座るのが好きだ。しかし、この日はクリスマスの飾り付けがされていて、カウンターでは飲めそうになかった。部屋の隅のボックス席に案内されて、場末のスナックのような硬いソファに腰掛けた。
「さ、何飲む?」
「ビールですね」
「またビール飲むの? 好きだな」
「他にお勧めあります?」
「それなら、ビールベースのカクテルは?」
「ああ。あんまり飲んだことないですね」
「飲み易いのあるよ」
「『シャンディ・ガフ』とかですか?」
「そうそう。俺それ飲もっと」
「私には何をお勧めで?」
「オレンジジュースで割るのは?」
「気持ち悪そう」
「そうか? 夏みかんで割ってみたら、すごく美味しかったけどな。」
「へえ。意外な組み合わせ」
「うん。夏みかんの微妙な苦みが、ビールによく合うんだ。」
「自分で果汁絞るんですか?」
「ご近所のお庭の甘夏の木からもらって来て、『甘い夏の経験』とか名付けて(笑)」
「ふふふ。色々やってるんですね。トマトジュースで割るやつなら飲んだことあります」
「『レッドアイ』か、じゃそれにする?」
「それでも、気持ちよく酔えなさそうで」
「文句多いな。じゃ、ジンで割ったやつは?」
「そんなのあるんですか?」
「きつめのカクテルだけど、何て言ったかな? ねえ、お兄さん、ジンで割ったビールってなんて言ったっけ?」
博之は、たまたま横を通った店員に聞いた。
「あ、『ドッグ・ノーズ』ですか。かしこまりました」
「あ、あれ? 注文通ちゃった。・・・ああ、それと、『シャンディ・ガフ』も!」
「私に、きついやつ飲めってか?」
「ごめん、俺がそっち飲むよ」
こんな安っぽいバーじゃ、格好付けようにも、店の対応がなってない。博之はソファの低い背もたれに、首を載せるように深々と腰をかけた。