隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2
「体調が悪いだけじゃなくって、精神的にまいってるのよね。愛ちゃん」
「そうだろう。普段は気丈に振舞ってるけど、婚約解消するって言った途端、気が抜けてしまったのかもしれないな。それにこれから、拓君や向こうの家族とも話し合わないといけないから、プレッシャーを感じたのかも。過呼吸は、精神的なものからも来るらしいから」
「向こうの家族には、あなたも付いて行ってあげればいいんじゃないの?」
「そうだな。でも愛音だってもう34歳なんだし、俺が行ったら余計にややこしくなるだけじゃないかな」
病院に運び込まれてから、もう30分以上経っている。診察室から出て来た看護師に、博之と知子は声をかけた。
「あの、川島愛音はまだでしょうか?」
「どんな容態ですか?」
「ああ、川島さん。今から検査をしますので。容態は落ち着かれたようですから、しっかり話されてますよ。もう少しお待ちください」
結局1時間近くかかって、愛音は診察室を出て来た。しかし、彼女はストレッチャーに乗せられていた。側にいた医師に、博之から近寄り声をかけた。
「すみません。彼女はどういう状態なんですか?」
「ご家族の方ですか?」
博之は「はい」と答えようかと思ったが、
「いいえ。知り合いですが」
「では、私の口から申し上げることは出来ません。ご本人からお聞きください」
この返答に博之は怪訝そうに眉を寄せて、運ばれるストレッチャーの方を見た。
「愛音。どうだった?」
愛音は、涙目になっていた。
「パパ。私、・・・妊娠してるって」
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