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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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第6章 秘密の愚痴会



 11月中頃、もみじの紅葉が進み、お城周辺は観光客が増えている。最近は仕事も落ち着き始めて、丸川係長も文句を言わなくなって来た。
(やれやれ、新映像チームは結局、増員しなくても何とかなったな。残業時間が多いのが気になるけど、俺が手伝いに行けば、皆も交代で代休が取れるだろう。もう、忘年会の予約も済んだし、年末まではあっと言う間だろうな。小原ともあと少し、ここ2ヶ月ほどで急に仲良くなった気がするけど、変に踏み込んでセクハラにならないように、絶対に気を付けよう)

 社長室で、業務報告を行う博之は、ソファに座りパソコンを操作しながら、社長の話を聞いていた。
「・・・それから丸川係長だが、何を考えとるんだかこの前、給料もっと上げてくれとか言って来よったぞ」
「社長に直接ですか?」
「なんか、家を建てたとこで、奥さんが妊娠してるから、もっと金が要るそうだ。それに奥さんの母親が癌の治療中だとか」
「お義母さんが。・・・そうだったんですか。仕事に身が入ってないと思ってましたが。子供も5人目ですよ」
「そんなに居るんか?」
「ええ。人生設計とかあるんでしょうかね」
「それじゃ、家計厳しいだろうな。もっと仕事を振って、残業代稼がせてやれ」
「振ってるんですけど・・・・・・」

「社長、忘年会は12月8日のボーナス支給日になるんですが、出席していただけますか?」
「ああ、そうか。お邪魔じゃなければ、行かせてもらうぞ」
「9月以降は、皆本当にガンバッてますので、パートさん達にも何か報奨金のようなものを出そうかと思うんですが」
「いいじゃないか。やりなさい。忘年会で全員に何か渡したらどうだね」
「そうですね。それで考えていたんですが、社員には一万円、それと派遣とパート、アルバイトにも一律で五千円の商品券をプレゼントするのはどうでしょう」
「それじゃ現金を渡すのと変わらんな。税金で控除されるぞ。社名入りのボールペンなんかどうだ?」
「それもらっても喜ぶ人いないですよ」
「それは寂しいこと言うね」
「記念品でも利用価値の高いものならいいですが、気に入らなければ批判の対象になるだけですので」
「ますます寂しいね」
「同じ経費をかけるなら、喜んでもらえる物の方がいいと思うんで、商品券ではと思ったんですが」
「じゃテレフォンカードみたいに、社名を印刷出来るやつにしたらどうだ?」
「一応、QUOカードというのは、そんな印刷が出来るんですが、額面金額にプラス手数料もかかりますので、結局はもったいないなと思いまして」
「じゃ、普通のデパート共通券とかしか、仕方ないわけか」
「はい。それが結論です。でも、そんな額の商品券でも、結局は税金必要ですよね」
「ふむ、最近は税務署がうるさいからな。一人ひとり計算すればいいじゃないか。西山さんにやってもらおう」
「はい。解かりました」

 忘年会の予約を入れたのは丸川係長である。仕事はゆっくりだが、こんなことには行動が早い。博之が頼む前から、勝手に宴会場を探してくれていた。しかし、博之はと言うと、(小原の送別会を兼ねるには、少し時期が早いな。来年もう一度、新年会でやるのは変かな)などと気を使って考えるのだった。