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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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この前はこんなことがとか、お母さんの前ではどうだったとか、延々と愚痴をぶつけて来る愛音を、さっきまで一緒にいた小原と比較して聞いている博之だった。一通り愚痴を言って、静かになったところで、
「なあ、俺の会社でもな、全然真面目に仕事しないやつが多くて、大変なんだ。でもそんな奴でも親切丁寧に指導していかないと、仕事にならないんだよ。ましてや拓君は婚約者じゃないか、ちゃんとして欲しいようにお願いして、分かってもらうようにしなくちゃ」
 博之は、(こういう話は苦手だな。相手が信頼してくれるようなことを言わないといけないのって、逆にプレッシャー感じるんだよな)とか考えながら、どういう結論に達したらいいのか迷っていた。
「そんなことより、式場選びはどうなってるんだ?」
[・・・んーーーん。もうどうでもよくなって来た]
「なんてこと言うんだよ」
[3カ所見て来たけど、二人で行ったの1カ所だけ]
「なんで?」
[全部一緒に行くはずだったのに、一回は拓君が休日出勤になって、もう一回はその日の朝に、行くのやめるって言い出して]
「なんだそれ」
[でしょ! それでも一人で行って来たわよ、私は]
「お前の気持ち解る。一人だけ残って、作業現場の後片付け押し付けられる時と同じだな」
[大人のナリした子供かっての!]
「そんなヤツ、世の中に多すぎるよ。しっかりとリードして行くような男を捕まえんかい!」
[ぇえ! 私、パパみたいにガンガン行く人も苦手だし]
(え? そうなの? 俺のことそんなふうに思ってたの?)と博之は、愛音とはそれほど親密に付き合って来たわけじゃないのに、たまの会話だけで、苦手意識を持たれるほど、自分がくどい人間なのかと、不安になった。(仕事上でも、相手のためにしてるのに・・・ひょっとして小原にしているアドバイスとかも、相手はウザイと思っているのだろうか?)
[もしもし? どうかしたの?]
「いや、俺のこと苦手とか言われたし」
[え? そんな意味じゃないよ。パパ。ごっめん]


「ただいま。秋日子は?」
「おかえりなさい。もう勉強疲れで、ソファで寝てしまったわ」
「ソファで?」
「パパが帰って来るの待ってたのよ」
 ソファで静かに寝息を立てて眠る娘の顔を見て、涙が出そうになる博之だった。