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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「私がお父さんを見付けた時、それが木田さんでよかったって思えたのよ。お母さんが一度も会わせてくれなくって、写真さえなくって、どうして私にはお父さんがいないの?って、子供の時からずっと考えて来た。それって子供にとって、とても悲しいことでしょ。でも、今になって思うのは、これでよかったんだって。そう考えられるようになったの」
「そんなはずない! 父親がいないとダメだ!」
「木田さんには、幸せな家庭があるの! それは私とじゃ絶対に手に入らないものよ」
「俺となら作れるよ」
「いいえ、木田さんが中学生の時に私が生まれて、そんな木田さんがお父さんになれたと思う? 例え二十歳を超えていたとしても、分らないわ。そんな時、お母さんが木田さんと一緒に暮らしても、絶対にうまくいかなかったと思うの」
「俺も、子供ってこと? だから一緒になれないのか?」
「そうよ。拓君はまだお父さんにはなれない。家庭を任せられないわ。私のお母さんが私を守ってくれたように、私は赤ちゃんを守らないといけないの。木田さんには木田さんの家庭がある。それは木田さんが大人になってから作り上げたものよ。私はそこに、自分のお父さんを取られたなんて思わない」
「・・・・・・」
「木田さんがお父さんで、本当に良かったって思ってるわ。私が木田さんを探し当てた時から、私のパパでいてくれるんだから。それからはずっと大好きな・お父さんなの・よ・・・」
愛音はまた、堪えきれない涙を流した。
「俺は、俺なんかじゃ・・・」
「拓君にも、立派なお父さんになって、この子に会ってほしい」
この後、拓君は声を上げて泣いた。その声は外まで響いていた。