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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「ここならロビーより人が少ないし、聞こえないように話せないか?」
「車の中は? 一緒に行ってあげようか?」
「お願い出来ます?」
 3人はすぐに席を立ち、外に出た。コートのフードをかぶり、試験会場の校庭を急ぎ足で歩いた。革靴だった博之は何度も足を滑べらせ、その度に、
「縁起が悪い!」
と二人に言われている。
 試験会場の学校から徒歩で5分ほどの臨時駐車場にたどり着いた時には、肩には少し雪が積もっていた。車にも雪が積もっていたが、それを愛音はドアの上部だけ手で払い除けて乗り込んだ。博之は助手席に座った。
「ええー? なんて言ってかけよう・・・」
「『もしもし』って言って」
「あなた!」
「ごめん」
愛音はすこし考えて、息を整えてからリダイヤルした。静かな車内に漏れ出た呼び出し音はすぐに途切れ、相手が出た。
「も、もしもし。お母さんですか?」
[・・・あ、ιυηωこ・・εづ′・・・ρλ・・・]
相手の声は小さく漏れ聞こえて来たが、車内にいる博之たちにも、何を言ってるのか判らなかった。その時、愛音の顔は赤くなったいた。
「はい、そうです。今更ご迷惑をお掛けしますが、そういうことになりました」
[・・か、ΨΟ・ΠΩナ・・#Ьなの?<拓ちゃんが・・・лΓ・・・]
「12月のはじめです。それからずっと話し合いたかったんですけど、無視するじゃないけど、話をまったく聞いてくれなかったので・・・」
「・?Шυ・・*・ιж:・・・・、ヽЮけ・・なん・・のかしら*・・б・]
博之は愛音を見守った。いつでも電話を代わるつもりでいたが、愛音は落ち着いて話している。
「・・・その時、顔を叩かれたんで、もうダメでした」
[・・・・・・]
電話の向こうで絶句している様子だった。
「それから、すぐに出て行くようにお願いしたんです。今週まで何も言わないまま出てってくれませんでしたけど、その間にも飲酒運転して帰って来て、ガレージにぶつけて車壊したり、壁も壊れて・・・」