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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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「部長、何言ってるんですか。明日は一緒に行ってあげてくださいよ」
金曜日の午後、皆で会議室で作業成果のレヴューをしている最中に、翌日の出勤予定の話になり、博之も出勤するつもりで話していたが、新・新映像チームは、博之に娘の受験を優先するように言った。
「でも、忙しいし、昼からでも来るよ」
「そんな必要ないですって、僕らだけでもがんばれば、もう十分出来ますから」
最近はりきっている岩瀬が、力強く言った。
「私も出勤してもいいですよ」
パートさんまでも、その意見を後押しして来ると、
「そうか? 皆と作業するのも楽しいし、気にしてくれなくてもいいんだけど、なんか申しわけないな」
「部長は休日出勤しても、給料出ないですよね」
「ああ。そうだけど」
「え!? そうなんですか? じゃ、尚更休んでください」
(このパートさん、ありがたい)

「あき。忘れ物はない? そろそろ行くわよ」
「大丈夫。全部持った」
「腕時計置きっぱなしよ」
「かばんに入れてる」
「え? じゃこれは?」
「それ、針だから見難いし、デジタルのやつ持った」
 受験前日の午後、知子は秋日子を連れて家を出るところだった。電車の時間を気にして慌てている。
 翌日は雪の予報で、朝から交通が乱れる可能性があったので、試験会場近くの愛音宅に宿泊することになっていた。博之だけは、仕事で遅くなるので、翌朝の雪道を試験会場まで駆け付ける予定だ。
 正月明けにも塾通いのために、二人は愛音の家に宿泊していたが、今回も愛音は快く引き受けた。ただ一人の厄介者“元”婚約者の拓君は、もうその家にはいなかった。受験前の秋日子のために、拓君には出て行くよう強く言って、ようやく出て行ってくれたのは一昨日のことだ。