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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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第25章 受験直前講座



「あきちゃん。遠慮しないでね」
 秋日子が受験直前講座の1日目を終えて、愛音の自宅にやって来た。
「お邪魔します。よろしくお願いします」
今日から3泊して、この家から塾に通うのだ。知子も一緒に宿泊させてもらうことになっている。愛音は二人を玄関から直接階段に上げて、2階の部屋へ案内した。
「ここが私の部屋で、この隣の部屋を使ってください」
愛音が木の引き戸を開けると、中は畳敷きの洋間だった。
「ありがとう。愛ちゃん、きれいに掃除しておいてくれてるよね」
知子が秋日子に言った。
「うん。この机使ってもいい?」
「いいよ。引き出しにいっぱい何か入ってるけど、私のお母さんのだから」
「ああ、お母さんの部屋だったの。主人が見たがるわね」
「ええ? そうですか?」
「なんでパパが見たがるの?」
秋日子は不思議そうに聞いた。
 荷物を置いた後、3人は1階の居間に降りて、夕食の相談をした。
「一応、食材はあるんだけど、何か買ってきましょうか?」
愛音は申しわけなさそうに言った。
「どれどれ、うん、十分あるから何か作るわ」
冷蔵庫を覗き込んで知子が言った。知子は料理が得意なので、夕食を作ることで、泊めてもらうお礼をしようと考えていた。
「拓君の分はどうする?」
「あいつ、買って来たもの勝手に食べてるから、放っといていいですよ」
「いつまでいる気なの?」
「車を修理に出したから、それが直ったら、すぐに出て行ってくれるはずです」
「それでやっと別れられるの?」
「もーう、やっとです!」
そばにいた秋日子が、目を丸くして、
「え? お姉ちゃん、別れるの?」