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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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隠子の婚約+美人の退職+愛娘の受験+仕事の責任=幸せの1/2

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第3章 それぞれの悩み



 玄関に古風な明かりが灯る愛音の自宅は、結構な豪邸だ。亡くなった母ひとみから相続したものだが、その家は大学教授だったお祖父さんが建てたものだった。厳格なお祖父さんは、ひとみが未婚の母になったことを許さず、ひとみは幼い愛音を連れて、家を出てしまっていた。そしてお祖父さんとは長く疎遠になったが、お祖母さんが病気で亡くなってから、ひとみは愛音と共に自宅へ戻り、ようやく和解したようだ。それは愛音が20歳を超えてからのことだった。

 その居間のソファで、婚約中の二人が寛いでいる。
「ねえ、拓君。ちゃんと聞いてよ」
「話聞いてるって。でもちょっと待って、もうすぐゾンビ出て来るんだから」
「・・・・・・」
「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおあらー!」
拓君は愛音の相談を気にもせず、背筋を伸ばして力を込めて、ゲームコントローラーを小刻みに連打している。
「もういい?(怒)」
「うん。何?」
「お母さんが言ってる保証人なんだけどさ。木田さんにお願いしたんだけどね。法的な立会い人が必要な場合は困るって」
「別に正式なこと必要ないでしょ。おっと、危ない!」
ちょっと古い雰囲気の狭い部屋では、大画面テレビとの距離が近い。夢中でゲーム画面を見ながら話す拓君に、愛音は眉間にしわを寄せている。
「じゃ、お母さんにそう言ってくれる? 木田さんも婚姻届の証人にはなるって、言ってくれてたし」
ちょっと大きめの声で話した。
「それでいいじゃん」
「お母さん、それで納得してくれるのかなぁ」
「それより、式場探しはどっかいいとこある?」
「うん。本とかで見てるだけじゃ分からないし、今度一緒に見学に行かない?」
「ああ。いいよ。適当なとこ探しといてよ」
「一緒に探そうよ」
「俺、見ても解からねえもん」
「見たら解るようになるって」
「まだまだ先の話だし、俺はまだいいよ」
「・・・・・・(怒)」