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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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夕日を見ている美穂と言う女

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電車の窓に映る流れる景色のなかに、高木はコマ送りの映像を見ている錯覚に捉われていた。目的地に走る電車と、後退していく景色は、人生のように感じたのだ。パチンコ店の女。コンビニの女性。サイトでの彼女。洋食店のウエイトレス。どの女性にも個性を感じたし、1人の女性のようにも感じた。高木自身がそうであるように、誰もがいくつかの顔を持っているのだと感じた。それが生きていくということなのだとも感じた。人はその時その時で演じながら生きなければならないのかも知れない。演じることが上手ければ、それが真実にも見えてしまうのかもれない。冴子が演じた娼婦のような女は、まるで大根役者であった。それがかえって彼女の本当の姿を露呈してしまったのかも知れない。高木が惚れてしまったのはその姿の冴子であった。
 冴子は、自分では、その自分が嫌いなのだろう。だから、きっとそうだ。1番好きな姿を高木に見せてくれたのだろう。
 新幹線は時間の経過は同じであっても、進む距離は早い。群馬から離れる距離が長くなる。冴子との距離も遠くなる。
 落ち着いたころに、冴子に電話をかけてみようと高木は考えながら、新潟駅に着いた。