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【完】全能神ゼウスの神

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消滅


その場にいた全員の視力を奪う眩しい光が、少しずつ弱くなっていく。

すっかり光が消えた時、そこには華奢な女性がひとり立っていた。

暗闇の中でも輝いて見える、美しいストレートの金髪。

「…ヘラ…。」

リカが呟くように名前を呼ぶと、閉じられていた碧眼がゆっくりと開く。

その姿は、魔物になる前の清純な美しさをたたえており、すっかり浄化されたのが誰の目にも明らかだった。

「…リカ…。」

シンと静まり返る室内に、やわらかな澄んだ声が響く。

「魔物は?」

「消えたのか?」

「浄化成功か!?」

魔導師や天使、悪魔達が少しずつ交わし始めた声がみるみる間に大きな歓喜のざわめきになった。

そんな中、陽とイヴ、ギルとイザークはめいの姿を探す。

「ギル、時空の狭間に飛ばされてないか?」

「探してるんですが…今のところ…。」

「サタン、記憶は!?」

「めいの記憶は…ヘラを抱きしめた瞬間で消えてる。逆にヘラは、めいに抱きしめられたとこから記憶が始まってる。」

「くそ!僕に探す力があれば!」

歯噛みする陽の横を通り過ぎ、ヘラがリカに歩み寄った。

「リカ…助けてくれて、ありがとう。」

優美な微笑みを浮かべたヘラに、金色の瞳が向く。

その瞳は、一見ゼウス特有の無機質なものにみえるけれど、彼のことをよく知るイヴ達の背筋はぞくりとふるえた。

虚ろな金色の瞳が、想像を絶する暗い光をたたえている。

「…助けたのは、私じゃない。」

望んだ通り、無事に浄化できヘラが甦ったのに、リカからは喜びの欠片も感じられない。

いくら感情を持てないといっても、その暗い表情は恐ろしかった。

リカは、ヘラを見ているようで見ていない。

何かを探すように、どこか違うところに意識がとんでいるようにも見える。

「…魔導師長?」

「ゼウス様…。」

ギルと陽が同時に声を掛けた。

するとリカは二人に金の瞳を向けた後、部屋をぐるりと見渡す。

「…皆、お疲れ。」

無機質な声色で淡々と労をねぎらうと、杖でトンっと床を突いた。

「神の国と魔道界を、分ける。」

唐突にそう告げると同時に、ブオンッと時空が分かれる音がし、魔導師たちの姿が消える。

「…!」

今まで入り乱れて喜びを分かち合っていたのに、突然時空を分けられ、室内が一気に静まり返った。

けれど、そんな戸惑う天使や悪魔達の様子も意に介さず、リカは背を向ける。

そして、ふらりと扉へ向かった。

「リカ。」

ヘラが声を掛けると、リカは虹色のシャボン玉でヘラを包む。

「おまえは、ここに長くいらんねー。とりあえず、部屋に戻ってな。」

人形のように感情のこもらない声色で告げながら、ヘラを瞬間移動させた。

「リカさん、傷の手当てを…。」

イヴが微かに声をふるわせながら近づくと、リカはチラリと流血したままの腕に視線を向ける。

その瞬間、何かを思い出したのか、こらえるように瞳を一瞬細めた。

「いい。」

言い捨てるように呟いて扉を出ようとするリカの腕を、イヴが咄嗟に掴む。

「どこ行くんですか?」

赤い瞳で見つめると、リカがゆらりとふり返った。

「……。」

無言で斜めに見つめ返した後、リカはイヴの手をふりほどく。

そして、プロビデンスの間を出て行った。
作品名:【完】全能神ゼウスの神 作家名:しずか