オヤジ達の白球 6~10話
オヤジ達の白球(7)朗報
「朗報だ。しかもとっておきのビッグニュースだぞ!」
腰痛で寝込んでから8日後。祐介がひさしぶりに店を開ける。
開店してまもなく。常連客のひとりがドタバタと、息を切らせて
駈け込んで来た。
「なんだ、騒がしいなぁ。
近所で三毛猫のオスでも生まれたか?。
それとも、とうとうカミさんに愛想つかされて、夜逃げされたか。
どっちにしろおまえさんのビッグニュースには、眉唾物がおおいからな」
カウンターに陣取っていた常連客が、冷ややかな視線を男に浴びせる。
「馬鹿やろう。いつもといっしょにするんじゃねぇ。
まずは黙って俺の話を聞け。
あ、そのまえに大将。水を一杯くれ。駆けてきたもんでのどがカラカラだ」
駈け込んで来たのは、トラック運転手の坂上太一郎。40歳。
スポーツは大の苦手。肥満体で、走るのをもっとも苦手としている。
その坂上が、駆けてきたというからただ事ではなさそうだ。
作品名:オヤジ達の白球 6~10話 作家名:落合順平