オヤジ達の白球 6~10話
「だからよ。そいつはそっくり、おまえさんのチームへ返してやる。
俺たちが買収したのは素人の審判たちだ。
すこしくらい判定が甘くても、我慢するのが大人の配慮というもんだ。
おまえらの我慢が足りないせいで、乱闘に発展したんだ。
責任をとっておれらのチームだけが、いまだに活動を自粛中だ。
喧嘩といえばほんらい、公平に、双方を成敗するもんだ」
「バカ言ってんじゃねぇ。
巻き添えを食って、おれたちまで出場停止にされてたまるか。
頭にきた。ここで決着をつけようじゃねぇか!。
あのときは町の役員連中が仲裁に入ったから、不完全燃焼のまま
終わりになった。
鬱憤はまだ、たっぷり残っている。
どうだ、これから、一対一で決着をつけようじゃねぇか!」
「面白れぇ。売られた喧嘩だ。真正面から受け立つぜ!」
北海の熊が、両腕をまくりあげて立ち上がる。
「上等だ」消防士あがりの寅吉も、レスキューの帽子を投げ捨てて立ち上がる。
「待て待て、2人とも。いまはその話をする時じゃねぇ。冷静になれ2人とも」
岡崎が両手をひろげて仲裁に立ち上がる。
「まったく。すぐカッとなるんだから、おまえさんたち2人は。
喧嘩をしている場合じゃねぇ。いまは坂本の話を聞く方がさきだ。
で、町が手配したその公式の審判員がいったいどうしたって?。
謎の女とどんな関係が有るんだ?」
仲裁に入った岡崎がじろりと坂上を見下ろす。
作品名:オヤジ達の白球 6~10話 作家名:落合順平