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炬善(ごぜん)
炬善(ごぜん)
novelistID. 41661
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黄泉明りの落し子 三人の愚者【後編】

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 神父と、彼に支えられていたならず者は共に立ち止まった。
 二人とも、息も絶え絶えであったが、ルヴェンは呼吸を整えながら、彼をそっと木の幹にもたれかからせる。

「お待ちを……肩の傷については、動脈は無事のようです。ですが、問題は腿です」

 ルヴェンは、自らの黒い法衣の裾を、一気に破いた。
 即席の包帯を作りあげると、出血したニコールの大腿部に手早く、強く巻きつける。ならず者は苦痛に顔をゆがめていたが、もはや悪態はつかなかった。
「ニコールさん」
 ルヴェンが、おずおずと口を切った。
「取り急ぎの止血は行いました。ですが……既に出血量が――」

「あんたが何故死のうとしてたかは知らないが……」
 ニコールは言葉を被せる。
 苦しげな呼吸。
 ヒューヒューと、喘鳴が止まなかった。
「改めて例を言うよ。それから……すまなかった。あんたには、辛くあたっちまったな」

「そんな……気にすることはないのです。私は結局力及ばず、そして死すべき罪人で――……」
 答えかけたルヴェンはそこで、押し黙った。
「あんたが罪人かどうかなんてのは、俺には知ったことじゃねえ」
 ニコールが言葉を継いだ。
「俺は神なんてのは嫌いだからよ。けどハッキリ言う。あんたは本当……いい奴だよ」
 このならず者が、初めて浮べた笑顔だった。

 ルヴェンは、眼を見開いた。