⑥全能神ゼウスの神
相変わらず、オブラートに包むことなくストレートな言葉を口にするリカ。
「だから、ある意味『初体験』。」
「…。」
(女性経験が豊富なのに初体験なんて…。)
嬉しい言葉に思わず油断していると、からかうように耳元に唇が寄せられた。
「あ、でも朝とかは」
「もー!セクハラ!!」
慌ててその顎をグイッと持ち上げ言葉を遮ると、リカが声をあげて笑いながら私をぎゅっと抱きしめる。
「あっはっは!」
そして私の手首を掴むと、そっと外し、やわらかな笑顔で再び私を覗き込んだ。
「めいとひとつになれて、ほんと幸せ。」
あんまり嬉しそうに微笑むので、私もつられて笑顔になる。
「…私も。」
お互いにうっとりと見つめ合って、そのまま引き寄せられるように顔が近づいたその瞬間。
「長く独りにして、ごめんね~めいちゃん!」
寝室の扉が勢いよく開いた。