旧説帝都エデン
「で、海に飛び込むとこ見てたわけ?」
「あぁ、ばっちり録画しといたぞ」
「何で止めてくれなかったんだよ」
カメラに向かって怒っている時雨の姿は側から見るものがいたとしたら滑稽なものであった。
「かなりマジな顔をしていたからな」
「はぁ……でどうやってボクは家に帰るの?」
「もうすぐ、ヘリの向かいが来るからしばし待て」
「もうすぐってどのくらい?」
「まぁ10時間くらいじゃないか」
「それって、もうすぐっていうの?」
「この星の歴史からすれば微々たるものだ……ん? シーモンキー大量発生!! ……家政婦は見ていなかっただとぉーっ!!」
真は会話の途中でトリップしてしまった。
「あのぉ〜真くん?」
「あちょんぶりけ〜もっちゃらぴろびろ〜ん」
「はぁ……
この後、真は結局コッチの世界に帰還することができず、そして、時雨はスピーカーから聴こえて来る奇怪な声にうなされることとなり、彼がこの悪夢から開放されたのは10時間以上も先のことだったという。
病は気から 完
作品名:旧説帝都エデン 作家名:秋月あきら(秋月瑛)