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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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旧説帝都エデン

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 結局時雨は二人も担いで出口までいくハメになってしまった。
 帰りの道は紅葉の一流のプロフェッサーとしての超的確な?勘?によって案内され出口に到着することができた。
 時雨は出口に着くと全身の力が抜け上の二人に押しつぶされるように地面に倒れ込んだ。
 それを見ていた、研究者や報道人がいっせいに周りを取り囲み騒ぎたてた。
 それを聞きながら時雨の意識はどんどんと闇の中へと沈んでいった――。

 それから数日――。時雨は自宅の茶の間で渋めのお茶をすすっていた。
 時雨はここ数日の間、この家から一歩も出ずに一日中この部屋でお茶を飲みながら何か物思いに耽りながら過ごしていた。
「どうしたんです、テンチョ。テンチョがこんなだからお店の方ももう3日も休んじゃったじゃないですか、また赤字街道爆進まっしぐらになっちゃいますよぉ〜」
「うん、そうだね」
 時雨の返事には感情がこもっていなかった。あの遺跡での出来事以来時雨はずっとこうなのだ。
「う〜ん、いくら考えてもわからないなぁ……もういいや、考えるの辞めよ」
 そう言って時雨はここ数日間のことがまるで嘘だったかのように元気を取り戻した。
「そうだ! ここ数日ハルナちゃんに迷惑かけたし、今日はボクが腕によりをかけておいしい夕食を作ってあげるよ」
「ホントですかぁ〜、うれしいです。テンチョが料理食べさせてくれるなんてひさしぶりですぅ」
 ハルナは本当に心の底からうれしそうな顔をしていた。
「じゃあ、一緒に買い物行こうか」
「はい!」
 まだ季節は冬だというのにハルナの笑顔は部屋中を春の陽気でやさしく包み込んだ。

 あの事件以降、遺跡での行方不明事件は一件も発生することはなかった。
 行方不明になった人たちはあの事件の余日から一週間ほどをかけて全員遺体として発見され、遺跡からはだんだんと報道陣の数は減っていき、今ではもう都民の頭からは遺跡のことなどもうすっかり忘れさられてしまっていた。しかし、あの事件に関わった3人の、いや、2人の頭にはにはいつまでも疑問が付きまとうことになってしまったのだった。
 しかし、全ての謎は……この遺跡で……。

 邪神伝 完