④全能神ゼウスの神
「リカ様。…今の、言葉足したほうが良くないですか?たぶん『オレのオンナに指一本触れんじゃねぇ。触れたら命はないものと思え!』ってとらえられたと思うんですけど…。」
私が焦って訴えると、リカ様がプッとふきだす。
「あっはっは!!」
そして、お腹を抱えて笑い始めた。
「おまえ、相変わらずおもしれーな!!」
リカ様はひとりで大笑いしながら、私のシャボン玉を割る。
「いいんじゃね?誤解させとけば。」
リカ様は艶やかな笑顔で私をななめに見下ろすと、さっさと歩いて行った。
ゼウスの時には、御祓の泉でしか見ることのできなかった、屈託のない笑顔。
(たとえ宇宙が崩壊しても、リカ様が自由に過ごせるならこのまま魔導師で…なんて思う私は、独善的でフェアリー失格なんだろうな。)
(…ヘラ様も、ここならようやくリカ様の笑顔が見れるのに…。)
リカ様の相変わらず美しい後ろ姿を見つめながら、私の胸は複雑な思いで締め付けられるばかりだった。