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古代湖の底から

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 こんな命令を受けたボーヤ、宇宙の奇跡とも言われる美しい地球を、たとえその手法が平和的なものであったとしても、最終的に奪ってしまうなんて、驚き桃の木山椒の木だ。
 それにしてもなんと深慮遠謀のことだろうか。
 宇宙には悠久の時の流れがある。それに比べれば、眠っていた2000年という時間はほんの一瞬のこと。
 ボーヤには、こうなるプログラムはそのちょっと前から組まれていたのではないだろうかという疑心が、ふつふつと。
 イッチョカミ星人の戦闘に紛れ、あえて湖の底にあった自然の地下水道に栓をした。その後、人類がもう少し科学力を身に着けるであろう2000年の時をやり過ごした。
 そして人間どもがやっと我々の話す内容を理解できるレベルに達した今、一番年若な自分に、地上派遣の白羽の矢が立った。
 すなわち人間のメスと恋仲となり、先々には子供をもうけるという筋書きなのだ。
 なんということだろうか、すべては完全に仕組まれたことだったのか。
 ボーヤ自身もヨロシオマッ星人でありながら、その狡賢さにゾッとした。

しかし、異議申し立てするには、もう手遅れ。ホモサピエンスのメス、哀歌を、――好きになっちゃいました。
ここは哀歌を我が星にお持ち帰りし、キャプテンの提案通りマリアージュが最高。
 ボーヤは覚悟を決めた。

キャプテンへ
 アーネゴもアンチーヤンも、イッチョカミ星人との戦いの裏に、地球を略奪する、つまり『地球、いただいちゃいます作戦』があることを知っていたのですね。
 それで、この件についてはキャプテンの口から直接にとなって、二人はあんなくだらない応答で誤魔化したのですよね。
 もう頭にきました。
 それでも私は名誉ある宇宙ソルジャーです。
 この工作を了解しました。
 早速哀歌をそそのかして、円盤機のサルベージ、ヨロシオマッ星!
                      ボーヤより


作品名:古代湖の底から 作家名:鮎風 遊