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古代湖の底から

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 これにすぐキャプテンから注意喚起のメールが入ってきた。

ボーヤへ
 おいおいおい、人間て案外危険生物かも知れないぞ。
 メスたちに骨抜きにされるなよ。
 地球調査の継続、お前の頑張りを期待してるから。
                              キャプテンより

 了解です、と返したボーヤ、さてさてこれからどうなることやら、ちょっと不安ではあった。
 だがこの夜は疲れもあったのか、たとえ女郎蜘蛛が巣を張るような部屋であっても、心地よい眠りへと落ちて行ったのだった。
 こんなドタバタでスタートしたボーヤの京都での暮らし、その後何ごともなく一週間が経過した。
 一方恋慕はやっぱりプロ作家、書斎に入り浸りとなり、本業の執筆活動に励んでいるようだ。
それに比べお嬢さまは、時間に少し余裕があるようで、暇を見つけてはボーヤを観光に連れ出してくれた。
 最初は近場観光、それは東山の清水寺から始まり八瀬大原三千院へと。その後は鞍馬から金閣寺へと。もちろん最後は嵐山、一応ぐるりと人気の定番コースを。

 とは言っても京都は1000年の古都、ボーヤが琵琶湖の底で眠りから醒めた後、日本という国がどんな歴史を持つことになったのかを勉強してきた。だから哀歌とともに散策し、それぞれの地で感慨深いものが込み上げてきた。
 そして、そうこうしている内に地元観光は終了し、今度は足を伸ばし、沖縄から北海道までの弾丸縦貫ツアーに連れ出してくれた。
 それはバタバタと忙しい旅ではあったが、哀歌と一緒に訪ねた地、ヨロシオマッ星人が見ても、そこにはとても美しい風景があった。ボーヤは度々「ヨロシオマッ星!」と感動の言葉を張り上げてしまったのだった。

 このように哀歌との出逢いから50日が経過し、たとえ人間のメスとエイリアンのオスの組み合わせであっても、この二生物に淡い恋心が芽生えてきても不思議ではない。
 そんなある日、ボーヤは哀歌に、「ちょっと友人たちに紹介したいの」と女子会なるものに誘われる。
 聞くところによると、女子会とは一般的に数人の女友達が集合し、美味しい食事を取り、ワイワイガヤガヤと楽しい一時を過ごす集まりだとか。
「おっおー、乙女たちの集い。俺は未だ、お転婆さんの哀歌しか知らない。他のメス、いやレディたちは……、一体どんなんだろうかなあ?」
 ボーヤは胸をワクワクさせながら出掛けた。


作品名:古代湖の底から 作家名:鮎風 遊