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古代湖の底から

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 しかし、ボーヤはもう少し自分だけで調査したかった。だが湖の底で眠り続けてきた仲間たち、ここは連帯行動が大事。わかりましたと素直に頷いた。
 そしてここからのチーフ、アーネゴの頑張りは、まことにスゴ〜かった!
 ひょっとしたらキャプテンに惚れてんじゃないかと。
 いや、絶対にあり得ない。白鳥座に帰還してから昇進の推薦をもらうため、その下心からくるものなのだろう。

 まっ、それはそれで前向きで、いいんじゃないですかと文句を付けることでもない。こうしてネット侵入を開始し、この星についてさらに知ることとなる。
 そしてチームを代表して、アーネゴが以下の調査結果をキャプテンに報告する。

 私たちが今いるブルースター、それは太陽の惑星で、地球と呼ばれてます。
 その大きさは直径12、756キロメーターとあまり大きくなく、24時間で自転し、サン、つまり太陽の周りを365日で公転しています。
 さほど大きくないこの星の表面は約7割が塩分濃度3パーセントの海。また地表から約10キロメートルの高さまでは空気が存在し、海と陸地に多種多様な生物が生息しているようです。
 その中でも、最も高度な生物がホモサピエンスで、人間だとか人だとかとも呼ばれています。
 つまり20万年前に誕生したホモサピエンスは、新人類だと称されていて、オスとメスの交尾により生命を繋ぎ、進化を遂げてきました。

2000年前、私たちは水隠れ作戦で小さな湖へと降下しましたね。
 その時、この円盤機から撮った集落、そこの人間は弥生人と分類され、この地域の今の人類、現代人へと繋がって行ってます。
 そして、この現代人と呼ばれる人たちの生きがいは、理想としては『愛』、現実には『金』というところでしょうか。
 一方では、――うらミ、つらミ、ねたミ、そねミ。これら四つ『ミ』で、憎悪ドロドロ状態に陥る傾向があります。
 そうなのです、同じ人間同士が見るに耐えないほどに憎み合うわけですが、その実はこの見苦しい闘争を好む、あるいは楽しむ性癖があるようです。

 いずれにしても、望むところは幸福でしょうが、それが成就するかしないかは別にして、平均80年の悲喜こもごもの人生を、満身創痍(まんしんそうい)ながらも一日ずつ歩み続ける。そんな得も言われぬ生涯事例が多く観察されました。
 このような生き様は非文明的であり、かつ非文化的だと言えるでしょう。
 そしてここから理解できることは、他人との無用な張り合いに多大なエネルギーを使っているため、サイエンティフィックな進化は未だ地球内の電子網レベルです。まあ、致し方ないことですけどね。
 それでもインターネットと呼び、重宝し、全人類嬉々としているようです。しかし、そこからの情報漏洩も止められないステージで留まっております。

 他に、この人間の最大恐怖は――地震、雷、火事、カミさん、だとか。
 当然、これらの制御は未だ出来ていませんし、特にオスにとってカミさんが一番恐い存在みたいです。
 以上のような点から結論しますと、人間の進化レベルは恐竜に少し毛が生えた程度だと断じて良いでしょう。


作品名:古代湖の底から 作家名:鮎風 遊