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古代湖の底から

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 その後、送られてきたデーターはちゃっちゃと解析され、アンチーヤンがそこから要点を読み取り、第一報告をする。
「このブルースターには大量の水が存在し、また大気は混合気体であります。体積比で窒素78パーセント、酸素21パーセント、あとはアルゴン、二酸化炭素、ネオン、ヘリウムなどを含みます。これにより種々雑多な生命体が生存していると思われます」
 この情報を得たアーネゴ、「ふーん、生物がいるのね」と歯切れの悪い独り言を吐き、目を閉じる。その3秒後、パッと目を開く。
「そう言えば2000年前、空からこの湖へと降下運転中、湖岸に小さな集落があったわ」
 アーネゴが当時操縦席から見た情景を思い出したのだろう。すぐさま「記録画像が残ってるはずよ」とコックピットのボタン操作をする。するとどうだろうか、スクリーンに当時記録された映像が映し出された。
 これを観たキャプテンは、さらに知りたくなったのだろう、「もうちょっと拡大してくれないか」とリクエストする。
 これにアーネゴは「イエッサー」と即答。そして、ここぞというシーンをズームアップする。

「ああ、確かにそうだ、2000年前、こんな漁村があったなあ。おい、みんな、見てみろよ、何匹かの二足歩行の動物たちが仕事をしてるぞ。陸では作物を作ってるし、湖ではオトト釣りしてるぜ。それに草葺きの家の近くでは土製の壺で、クッキングだよ」
 全員驚愕で、キャプテンさえも目を白黒させている。
 それでもさすがキャプテン、冷静さを戻し、ボーヤに指示する。
「大気があり、水がある。まだまだ未開だが、社会を構成できる生物が暮らしていても不思議ではない。だがなあ、今はこの映像の時点から2000年経過しているだろ。シュミレーションして、この動物たちの現在の文明度を推し量ってくれ」

元よりボーヤは未知なことの解明が大好き。相も変わらず「ヨロシオマッ星!」と答え、作業に掛かる。そして15分後には「結果が出ました」と、自信があるのか、思い切り顔を前へと突き出してきた。
「あんた、俺が俺がと思わず、これから先はまだ長いんだから、そう前のめりにならずにやんなさいよ」
 やっぱりアーネゴ、ここぞという時にはブレーキを掛けてくれる。ボーヤは深呼吸を一つして……。
「この二足歩行の動物の現在のカルチャー度合いは、この星内で電子網を操る程度でして、まだ宇宙界ネットまでは進化していません」
自信たっぷりにこう言い切ったボーヤに、「ああ、そのようだな」とキャプテンはすでに予想していたことなのか、実に軽い。この反応にボーヤは不満。

 だが文句を言ってる場合じゃない。そこはわきまえ、ゴマスリ星人の口癖を真似て、「仰る通りです」と返した。
「俺は何も仰ってないが、ここまではよく調べてくれたから、まあ、善しとしよう」
 キャプテンはこう告げ、あとの指令を発す。
「ここからはアーネゴをチーフにし、この青星の電子網に侵入し、生物の暮らしぶりなど、その実体を、一致団結で明らかにしてくれ」
この指示は的確だ。やはりこの先はチームワークが必要。


作品名:古代湖の底から 作家名:鮎風 遊