ショッッピングモール
通路がまっすぐ続いていて左右に部屋が並んでいて、突き当たりは生鮮食品のスーパーのようだった。左右を見回して違和感に気付いた。普通は客がすぐに商品に目が行くようにオープンなのだが、仕切られた各部屋に扉が一つだけだ。そしてガラス張りでは無いので中が見えない。店の名前が掲げられているが、意味不明のカタカナなので何の店かわからない。とりあえず手前のドアを開けてみようと思った近寄った。
外見からわからなかったが、以外にも自動ドアだったので、つられるように中に入ってしまった。浮き立つような甘い匂いがしていて目の前には薄着の女性達がヨガのような運動をしていた。かなり刺激的なポーズをしているので、目のやり場に困った……というか目が釘付けだ。それでもリュックを背負ったおじさんがここで眺めているわけにはいかないということは分かった。引き返して自動ドアの前に立ったが、こちらにはセンサーが付いていないようで開かない。私は慌てて出口と思われる場所を探した。女性達が体を動かしながら時々こちらを見ているが誰もが声を出さないのが不気味に思えてきた。
部屋の隅に受付カウンターのようなものが見えたのでそこに向かった。足を思い切り広げた女性や、胸を反らせた女性の間を、間違って触れてしまったらどうなるのだろうと思いながら歩く。困った状況にありながら目はしっかりと自動焦点で女性だけの部分に向かっている。それを解除しながらどうにかカウンターに辿りついた。
作品名:ショッッピングモール 作家名:伊達梁川