ショッッピングモール
「もしもし」という声を聞いて、一瞬自分がどこにいるのか分からなくなって、目の前のバスの姿と運転者らしい男の姿をみて次第に状況が飲み込めた。疲れで眠っていまったようだ。
「乗るんでしょう」と、男は運転席に戻った。私は「すみません」と言いながら急いでバスに乗り込んだ。車内には数人の老人が乗っているだけだった。行き先の終点が○○駅となっているので、とりあえず駅で路線と時間を調べてなんとか家に帰れるだろうと思って安心した。
○○駅に着いて路線図と時刻を確認し、遠回りになるが乗り継げば暗くなる前に家に着けるだろうと思うと空腹を感じ、駅前を物色した。少し離れた場所にショッピングモールのようなものを発見し、歩き出した。最近は駅から離れた場所に大きな駐車場を持った、誰でも知っているような店が入り、どこも個性が無いが、便利になったものだ。
近づいて行くにつれ、頭に描いていたどこにでもあるようなショッピングモールではないことに気付いた。見覚えのある有名なロゴが見当たらない。入り口が見え、老若男女が出入りしているので、私も中に入った。
作品名:ショッッピングモール 作家名:伊達梁川