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ショッッピングモール

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低山だと甘く見たせいも有るだろう。そして横道があると入っていってしまう私の習性が問題だ。たいていの場合、より広い道に出てどうにか位置関係のつじつまを合わせるのだが、行き着いた先に古くからあるだろう祠を見ただけで引き返したのだが、まったく見覚えのない道を歩いている。道は下り坂なので、いずれ民家のある場所に出られるだろうという願いだ。

次第に水の流れる音が聞こえてきて、やがて沢沿いの道に辿り着いた。足の疲労は相当あったが、少し元気が出た。車の轍もあるのでこのまま下って行けば事態は良くなってきているだろう。

遂に車の走る音を聞いて間もなく広い道に合流した。ここがどの辺りなのか訊く人などいない。時折通り過ぎる車から不審者を見るような視線を感じた。観光地でもなく一応リュックを背負って登山っぽい服装はしているが、有名な山でもない山から下りてきたのだから当然だろう。それでもバス停らしきものを見えてきて、急ぎ足になって辿り着いた。確かにバス停ではあったが、朝と夕方に1本ずつあるだけだった。時間を確認すると、幸いなことに1時間ほど待てば良さそうだ。普段利用している電車の場合、出てしまったばかりで、20分待つことになったりするとかなり損をした気分になろのだが、今の自分には僥倖なことに思えた。座り込んで水分を補給し、コンクリートの土手に寄りかかった。

作品名:ショッッピングモール 作家名:伊達梁川