東京人コンパ
「晴菜、杏、沙織、また男性の人達へ、とうとうここにたどり着いたのね。ということは、私の素性を知ったということかしら。残念ながらあなた達が私の居場所を突き詰めようとしてももう私はここにはいません。見つけようとしてもそれはできないでしょう。私はもっと遠い場所にいます。なぜ遠い場所にいるかは今の私にはみんなにうまく説明することができないし、説明する必要もないものと思われます。父のニュースを見たでしょう。私は高校のときから父のところへいろいろな著名人が訪れました。その中には大手の会社の社長達が家で密談しているところを見ました。その頃からおぼろげに父が不祥事を働いていることを知りました。そのときの私の心境といったら、ドフトエフスキーのカラマーゾフの兄弟のドリーミーの告白で、美ってやつは、こわい、恐ろしいものだ!はっきり定義づけられないから、恐ろしいのだし、定義できないというのも、神様が謎ばかり出したから――
――それ以来私の生涯の美はソドム(悪行)に変わりました。
純粋な清潔を保った一人のバージンの高校生が魔物と化したのです。これはあらがえない運命です。みなさんどうかお元気で。さようなら。
私は犯罪者の娘です。