オヤジたちの白球 1話~5話
オヤジ達の白球(5)男のやきもち
陽子が煙草を取り出す。
赤い唇から、ぽかりと煙がたちのぼる。
「吸う?」陽子の問いかけに、祐介がこくりとうなずく。
「はい」吸いかけの煙草を、祐介の唇へ差し込む。
フィルターに陽子の紅がついている。
「・・・男なんか、うんざりだ。
だいいち。あたしの周りには、ろくな男が居ないもの。
気ままで身勝手で、嘘ばっかりつくんだ。男どもときたら・・・」
「男でずいぶん、酷い目に遭ってきたような口ぶりだな?」
「最初は、甘い言葉でちゃほやする。
そのくせに釣り上げた瞬間から、浮気は男の甲斐性だなんてほざいて、
好き勝手なことをはじめる。極道たちの世界はなおさらだ。
義理がどうの、恩がどうのと、体面ばかりを気にしてる。
それだけ見れば、人の道義にたっぷり神経をつかっているように見える」
作品名:オヤジたちの白球 1話~5話 作家名:落合順平