小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジたちの白球 1話~5話

INDEX|12ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 おかゆはお米から炊くのが基本。
ご飯で炊いたものは「入れがゆ」と言う。白米から炊くものが「炊きがゆ」。
弱火で時間をかけて炊き上げると、米の旨みがそのままおかゆになる。

 久しぶりの食事を済ませ、胃袋が満たされた祐介が布団の上で腰を伸ばす。
腰を伸ばすこと自体が、久しぶりだ。
凝り固まっていた腰周辺の筋肉が、ごりごりと音を立てて動いていく。

  「大丈夫、祐介?。
 いきなりそんな態勢をとって。痛みが再発してもしらないよ」

 お茶を飲んでいる陽子が、祐介へ牽制球を投げる。

 「大丈夫さ。君のおかげだ。
 飯を食ったらがぜん、元気がみなぎってきた。
 まる3日間。食うものも食わず、喉が渇くと水だけ呑んで我慢してきた。
 食いたいのは山々だが、飯を食うとトイレへ行くのが大変だ。
 持つべきものはやはり、君のように優しい、幼馴染みだな」
 
 「惚れた弱みだもの、仕方がないじゃないか。
 あんたとわたしは、どこまで行っても交わらない2本のレールみたいなものだ。
 あれから30年。世間ではこういうのを、腐れ縁と言うんだろうな」

 「腐れ縁?」

 「あっ。気にしないでおくれ。いまのは言葉の綾さ。
 さらっと聞き流しておくれ。
 純情可憐で何も知らなかった、あの頃の初心(うぶ)な私が、懐かしいねぇ。
 あの頃のわたしは、いったいどこへ消えちゃたんだろう・・・」

 「昔のままとは言わないが、いまでも充分に綺麗だぜ、お前さんは。
 50歳になったばかりだ。
 それだけの美貌があれば、そのへんに転がっている男のひとりやふたり、
 簡単に手玉にとれるだろう」

(5)へつづく