①全能神ゼウスの神
嫌悪感を露にしながら訊ねると、サタン様は口をへの字にひき結んだ。
「んー…ていうかー俺らに性欲は、ない。」
「…え?」
意外な言葉に驚くと、サタン様は私を見つめながら説明する。
「いや、ないことはないんだけど、エサに対しては勃たない。ペットには、勃つ。けど挿れるのはタブー。」
(意味が、わからない。)
「エサとペットの違いって…何?」
呆然としながら訊ねる私に、サタン様は顎に手を添えながら口を開いた。
「エサは、なくなるまで食べ尽くす。ペットは、なくならない程度に食べながら可愛がる。」
「…なくなる…って、オーラが、ってこと?」
恐る恐る訊ねると、サタン様は頷く。
「そ。オーラがなくなると、人間の魂は消えるから。だから傍に置いておきたいやつはペットにして、たま~に舐める程度で我慢する。」
言いながら、色っぽく舌なめずりするサタン様。
「…人間は、みんな、そのどっちかなんですか?」
震える声で訊ねると、サタン様は首をふった。
「全員じゃない。人間の中でも選ばれた魂が、俺らみたいに神になる。で、なれなかった魂が、エサかペットかに振り分けられる。毎日エサを獲りに魂の泉に行くんだけど、そこで気に入った魂があったらペットとして飼う。」
(なんとなく、わかってきた。)
「…どうして…その…挿れないんですか?」
何でも答えてくれるサタン様なので、思いきって訊ねてみる。
「挿れると、繋がるじゃん。そしたらこっちのオーラを与えてしまうことになって、逆に力を奪われちゃうから。」
言いながら、サタン様はニヤリと笑った。
「でもさ、やっぱ挿れるとキモチいいから、俺らはこそっと挿れちゃうんだけど。ゼウス様なんか、どんなに挿れたくても挿れれないから可哀想だよねー。」
「…え?」
(どういうこと?)