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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 71話~最終話

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 三国山荘から出てきた客たちが、遠くへ小手をかざす。
尾根に姿を見せた2人が、ゆっくりと山荘に向かって歩いてくる。
「どうやら、もうひとりは女だな。大丈夫かよ、足がもつれているぜ・・・」

 「え・・・・男と女の2人連れ。もしかして!」

 朝食の準備を手伝っていた恭子が、手を止める。
あわてて窓の外へ目をやる。
遠い痩せ尾根の上を、女性をいたわりながら歩く男の姿が見える。
『清子。パパと、小春姉さんがやって来た!』
食器を放り出した恭子が、ドアに向かって走り出す。

 『え?』たまの毛づくろいをしていた清子も、慌てて立ち上がる。
放り出されたたまが2回3回と転がっていく。
そのまま土間へ転がり落ちていく。

 『イタタ。なんだよいきなり。乱暴だな清子は。・・・
 喜多方の小原庄助と小春姐さんが、ここまで登ってきたのか?』

 庭へ飛び出した恭子が、2人に向かって手を振る。
猛烈な勢いで飛び出してきた清子が、あっというまに恭子の横をすり抜ける。
勢いを保ったまま、痩せた登山道を小春に向かって突進していく。

 喜多方の小原庄助に手を引かれ、やっとの思いでここまで歩いてきた
小春が、山小屋から飛びだしてきた清子に気がつく。
小春が笑顔で立ち止まる。
大きく手を広げる前に、清子が猛烈な勢いで小春の懐に飛び込む。

 『怖かったァ~』