赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 71話~最終話
猫まんまを途中でやめたたまが、、管理人を振りかえる。
『騎士というのは、騎乗する戦士のことだ』管理人が、たまの顔を見下ろす。
『馬に乗る?、おいらが?。ますますもって、意味がわからん?』
管理人の膝へ、たまが座り込む。
「中世のヨーロッパで、馬に乗って戦う戦士に与えられた名誉称号が騎士だ。
そこから生まれた騎士という特別な階級が、やがて定着する。
フランス語でシュヴァリエと言い、イタリア語ではカヴァリエーレと言う。
スペイン語ではカバジェロ。いずれも「騎乗」という意味がある。
英語ではナイトと呼ぶ。これには「従僕」という意味もある」
『従僕?。いきなり召し使いに転落かよ。
身の回りの世話する下僕じゃ、おいら、つまんないな』
「こらこら。悲観するのまだ早い。肝心の話はこれからだ。
お前。レディーファーストという西洋の文化を知っているか?」
『車を降りるときや、椅子へ座るとき、女性をエスコートする
あれのことだろう?
そいつがなんで、ナイトと関係があるんだ』
「大有りだ。
レディーファーストの文化は、中世の騎士たちが作り出した。
女性の機嫌を取る男性の作法がはじまったのは、ローマ帝国の時代。
恋愛術や、口説きの手法がたいへん流行した。
だがこれらはいまのレディーファーストと、まったく関係がない。
本当のレディーファーストは、騎士階級の「騎士道』からはじまった」
『騎士道?。なんだよそれ。
そいつは日本の武士道と、同じようなものなのか?』
(75)へつづく
作品名:赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま 71話~最終話 作家名:落合順平